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「ねえ、宇宙人って本当にいると思う?」


二人で一緒に部屋で映画の再放送を見ていた時だった。宇宙人が地球を侵略しようとして、それを人間が阻止するっていうよくある映画で、再放送に再放送をかさねたもの。ああ、これで次はこうなるんだよなぁ、なんて呑気に思ってジュースに手を伸ばそうとしたら、ヒロトが急に真面目な顔をして聞いてきたのだった。ジュースに伸ばした手は引っ込めた。


「んー、いるんじゃないの?」


我ながら適当な答えだな。けど地球にはこんなにたくさんの人間が生活していて、文明も進化してるんだから当然他の惑星に宇宙人がいたって何もおかしくないよね。それにもし他の惑星に宇宙人が住んでいたとして、その宇宙人から見たらわたしたちが宇宙人じゃん、って話。


「じゃあもし僕が宇宙人で地球を支配するために来てたとしたらどうする?」
「別にどうもしない」
「怖がったり、憎んだりしないの?」
「うん、ぜーんぜん」


ヒロトは嬉しそうにも悲しそうにも見える顔をして次の言葉を探していた。


「それなら、もし僕が宇宙人だとしてもなまえちゃんは僕を好きでいてくれる?」
「宇宙人でも人間でも何でもいいよ、ヒロトはヒロト。わたしが好きな基山ヒロト」


その答えに対するヒロトの返事はなかった。まあそれはいいんだけど、とりあえず喉が渇いたからさっき飲めなかったジュースに手を伸ばした。長い間放置していたせいで氷は溶けて味が薄い。


「ヒロト、ちょっとジュースちょうだい」
「いいよ」


ヒロトは満面の笑みでコップを渡してくれ…ずに、飲み干した。間違えた、飲み干してなかった。だって飲み干したと思ったそれは今わたしの口の中にあるわけで。今すぐにでも文句のひとつやふたつ言ってやりたかったけど、仕方がないから文句と一緒に飲み込んだ。


「ヒロトきもい」
「ごめんね、つい」




「ありがとう、」

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