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初めて見たのは秀徳の入学式のとき。からかったらおもしろそうな人だと思ってつい話しかけてみたらこれが予想以上にかわいくて、それから真ちゃんのことを知っていくうちに気付いたら好きになってて、それでダメ元で告白したらまさかのオッケー。部活終わりに一緒に帰ったり、家に寄って何をするわけでもなくごろごろしたり、そんなことしてたらすぐ卒業。わたしは元々大学はおばあちゃんの家がある大阪から通うことになってたから、高校を卒業したら東京の大学に通う真ちゃんとは遠距離恋愛ってやつになるわけで。大学生になった今はたまにメールしたり電話したりするくらい。それでもわたしは十分幸せだと思うし、満足とまではいかないけどつらいと思ったことは一度もなかった。そしてなんと今約3ヶ月ぶりに生真ちゃんにお目にかかってるんです。なんせ、7月7日は真ちゃんの誕生日なのだよ。とか言いつつ今日は7月10日なわけですが。


「真ちゃんはぴばー」
「…遅いのだよ」


うーやっぱり3日遅れじゃ喜んでくれませんか。だからってそんなあからさまに拗ねられても困るんですけど。いや、真ちゃんの誕生日なのに携帯水没して電話もメールも出来なかったのは悪いと思ってるけど、そんなに膨れなくたっていいじゃないか。電車に揺られ新幹線に揺られまた電車に揺られ、頑張ってここまで来たこっちのことも考えて欲しいね。なんて思いつつ、やっぱり1年に1度の誕生日を恋人に祝ってもらえないってのは寂しいかもしれないとか思うわたしもなかなか真ちゃんのことが好きみたいだ。むう、真ちゃんのご機嫌をとるにはどうしたものか。


「何を考えているのだよ」
「どうしたら真ちゃんにわたしの愛が伝わるか」
「くだらん」


ちょっ、わたし結構真面目に答えたのにくだらんの一言って酷い。まあそれも真ちゃんのかわいいところだけど、久しぶりに会ったっていうのに、今日くらいデレてくれたっていいじゃないか。今日はツンの比率が高すぎる。


「彦星さーん」
「俺は彦星ではない」
「織姫でーす」
「お前は織姫ではない」


ひどい真ちゃん…わたしの渾身のギャグを流しやがった!ふん、いいもんね!別に真ちゃんが構ってくれなくたって寂しくなんかないし、お土産も買いに行かなきゃいけないしわたしはやることがいっぱいあるんだよ。なんせ今日ほんとは講義とかあったし、頑張って貯めたバイト代で東京まで来たんだからそれなりのことはしないと。まあ本来の目的は達成できそうにないんだけど。


「なまえ」
「どしたの」
「俺は彦星ではないしなまえは織姫ではない」
「うん、わかってるけど」
「それに彦星にはなりたくもない」


真ちゃん何が言いたいんだろう。拗ねてるからってわたしのギャグを何もそこまで真面目に否定しなくてもいいじゃないか。


「自分のせいで1年に1度しか会えないなど愚の骨頂なのだよ」


なんとなく真ちゃんの言いたいことがわかってきた。つまり真ちゃんは、


「俺は人事を尽くしている。自分の意思で会いたいときに会いに行くのだよ」


うん、そう。つまりそういうことを言いたかったわけだ。あーほら、慣れないことするから顔真っ赤だよ。眼鏡押し上げながらそっぽ向いちゃって。わたしやっぱ真ちゃん好きだ。ツンツンもいいけど、デレデレのわたしにしか見せない真ちゃんはとびっきりかわいいや。真ちゃんの背中にぎゅっと抱きついた。久しぶりの真ちゃんの匂いは相変わらず落ち着く。


「真ちゃんぽいね」
「お前もだから今日来たんじゃないのか」


確かに今日来たのは真ちゃんに会うためだけど。おっと、一番大切なことを忘れるところだった。今ならちゃんと聞いてくれると思うんだ。


「真ちゃん真ちゃん、」
「ん」


耳元に顔を近づけて。一回しか言わないから聞き逃さないでね。


「お誕生日おめでとう」




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美人さんで女王様、美しすぎます。緑間くん誕生日おめでとう!

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