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みょうじなまえ、一応女優らせてもらってますよろしく。わたしは現在進行形で走っております。ちなみに小走りとかじゃなく全力疾走のほうで。顔なんて気にしてられるか!なんせ今日は黄瀬くんに久し振りに会えるんじゃあぁああ!






「ま、間に合わなかった…」


裏門の前で溜め息混じりに呟いた。あ、とぅいったーとかじゃなくて普通にね、つまりはひとりごとですよ。だって、だってよ?!今日は2限の体育からいけると思ったのに!あ、今丁度3限が始まるチャイムが鳴り始めました、もう最悪。今日の体育バスケって聞いてたのに。見たかったのに。そのためにお昼ご飯を買う時間を割いて(元々おにぎり1個くらいしか買うお金しかなかったけど)全力疾走で特急乗り継いできたのに!うわあああん監督のバカ!


「お腹空いたぁ…」


なんかもうお腹空きすぎて気持ち悪くなってきた。はぁあ…憂鬱。まあしょうがない、バスケしてるところが見れなくても机に向かってるところなら見れるはず。イケメンは何をしてても絵になるからいいね。


「みょうじさん!」
「ひっ?!」
「あ、すません、驚かしちゃったスか?」
「いや全然!すごい自然体で、…すっ?!!?!」


どっどどどどどういうことですかなんでこんなところに黄瀬くんがああ撮影かってそういうことじゃなくてわわわわたしに話しかけてくれたというかなんていうかとりあえずキャパシティーオーバーとはこのことだね。だってまさか好きな人に会えるなんて!しかも声をかけてもらえるなんて!監督許す。


「みょうじさんも撮影スか?」
「あの、うん、今度のドラマの」
「すごいっスね!俺絶対見るんで放送日教えてくださいね」
「あ、ありがと。黄瀬くんも撮影?」
「そうっス。けど俺朝から何も食べてなくてお腹ペコペコなんスよぉ」


しどろもどろわたしーー!せっかく黄瀬くんと話すチャンスなのにしっかりしろ!ドラマ見てくれるっていうのは社交辞令?いやそれでも嬉しすぎて泣きそう。あのときスカウト受けてよかったって初めて思ってるなう。ところでペコペコって言葉が魔法の言葉に聞こえる不思議についてみなさんどう思いますか。そしてお腹を擦る黄瀬くんかわいすぎる。


「ねえみょうじさん」


ん、んんん?!なんか顔が近くなってきてるような気がするんですけど気のせいでしょうか。あ、いや、やっぱ気のせいじゃないです近い近すぎる。そんな端整な顔が近くにあったらわたしの心臓が持たないのでほんと早く退いてください。嬉しいのはこの上ないですがそれ以上にわたしの命があぶない。


「ひとりで食べんのって寂しいっスよね」
「う、うん、そうだね」
「今からひとりでご飯かぁ…寂しいっス」


こ、れは…まさか…お誘いなのか?ご飯のお誘いなのか?いやいやいや期待しちゃいますけどいいの?だって正直今までそういう関係じゃなかったし、今日突然今の瞬間からそういう関係になるなんて空から突然隕石が落ちてくる級の衝撃なんですけど。


「だから、ね?一緒に食べないスか?」


エマージェンシーエマージェンシー。隕石が落ちてくる級の衝撃ktkr。突然のランクアップって一体どう対応すればいいのかわからないですます。だれか助けてください。もうすぐ地球は終わるらしい。


「…だめ、スか?」
「ダメじゃない!、っけど…」
「けど?」
「わたし全然お金なくて…」


だから黄瀬くんがご飯食べてるのを見るだけになるんだけどそれでもいい?って言ったら黄瀬くんはけらけら笑い出した。うっ笑顔が眩しい。これがシャラ顔か。


「普通こういうときは男が払うもんスよ」
「え?!それはダメでしょ!」
「いいんスよ。ほら、行きましょ」


軽いノリで黄瀬くんはわたしの手を引いた。つまりは、あの黄瀬くんと手を繋いじゃってるわけです。手を中心に物凄い勢いで身体中が火照っていくのがわかります。その間にも黄瀬くんはどんどん歩いて行っちゃうし。ほんと足長いですね。ってちょ、手汗マジ止まれ。


「これってデートっスよね!」
「でー…と?」
「さーて、何食べよっかなあ」


神様、この状況を甘んじて受け入れていいのでしょうか。(全力で受け入れたいと思いますが)

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