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寒い寒い冬の日。雪がちらちら降って、吐く息は真っ白だ。寒さに弱いなまえは制服の上にコート、それからマフラーと耳あてに手袋という完全装備で靴下は二枚履きだと言っていた。某は寒さには強いので制服だけで何ともないが、なまえはあれだけ着ていてもやはり寒いのだろうか。心配ではあるが鼻歌を歌いながら足下の橙と赤のマスの橙の所だけ楽しそうにを歩く姿を見ているとそこまで苦ではないようなので敢えて黙っておこう。


「幸村、」


今まで橙の所を踏むことに必死だったなまえが突然名前を呼んだので驚いた。だが、それ以上に至近距離で見上げられることに未だに慣れないので赤面した。それにつられて返事の声は思ったよりも大きくなってしまった。それに笑ったなまえの愛らしさはなんともいえない。


「今日寒いでしょ。手、繋ごうか」


思考回路停止。付き合って3ヶ月、恋人らしいことは特に何もしていなかったとはいえ、あまりにも突然すぎて心の準備が出来ていない。ああしかし女子にこんなことを言わせるとはなんと情けない。本来ならば某が言わねばならぬことであったというのに。


「わたしが幸村と手繋ぎたいの、だめ?」


いつの間にか手袋を外した右手を差し出しながらはにかむなまえに少し見とれてしまった。手を繋ぐことは破廉恥なことだと思っていたが、なまえを見ていると決して破廉恥ではなく、寧ろどうしようもなく嬉しいものらしい。一気に熱を持った左手で冷たい小さな手を包み込んだ。

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