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久しぶりに見たあいつは昔より背が伸びていて、肩にかかるくらいだった髪が腰のあたりまで伸びていたこと以外何も変わっていなかった。くりっとした目も、長い睫毛も、びっくりしたときに口に手を当てる仕草も。全部昔のままだった。あいつが雷門にいるなんて、そんなこと聞いてない。…いや、俺にはもう関係ない。俺は昔の俺を捨てた。今の俺はフィフスセクターのシード、剣城京介だ。


「京ちゃん…?」


ダサいあだ名。俺のことをそう呼ぶのは昔もこいつだけだった。昔の俺ならダサいあだ名で呼ぶなと言っただろうが、今の俺は「そうだ」と冷たく言い放った。予想通りあいつの顔は凍りついた。


「もう昔の俺じゃない。分かるだろなまえ」
「そんな…だって、京ちゃん…」


あんなにサッカーが好きだったじゃない。


サッカーが好き?虫酸が走る。昔の俺を知っているなまえだからこその言葉だが、今はその言葉が憎い。いくらサッカーが好きでも、俺はもう心からサッカーを楽しめない。俺は兄さんのために、兄さんへの償いとしてサッカーという手段でフィフスセクターに従う。サッカーに好きも嫌いもない。なまえの言葉をかき消すようにシュートを放った。


「俺はサッカー部を潰す」


なまえの目から一筋の涙が零れるのが見えた。

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