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これこれの続き


わたしと日向が仮カップルとして成立して、一ヶ月が経った。はじめは一週間もあれば充分だと思っていたが、新聞部は「ついに認めた!日向、みょうじ本気愛!」という恥ずかしい見出しの記事を大々的に書きやがった。そしてそれをあろうことか学校便りと共に全生徒に配ったのだ。お得意の壁新聞はどうした。そのおかげで当初の予定はだだ崩れ、今や誠凛一有名なカップルと言っても過言ではないだろう。

仮とはいえカップルなので部活のあと家まで送ってもらうことになっているのだが、一ヶ月も続くともはや日常化している。慣れとは怖いもので、一昨日日向の用事で一緒に帰れなかったときは妙に寂しかった。日向には言ってないけど。あれ、帰れなかったっておかしいな。帰らなかったとき、か。…もやもやする。


「なまえ、どうかしたか?」
「え。あの、こんな状況がいつまで続くのかなーって」


最近日向と一緒にいるのが当たり前だと思ってる自分がいるだなんてとてもじゃないけど言えなくて、適当に誤魔化したはずが日向の表情は見る見るうちに曇っていく。そして日向らしからぬ覇気のない声で「なまえは俺と帰るの嫌か?」と。するとわたしの心臓はどきんと跳ねて、冷や汗が背中を伝った。なんで。


「わたしは嫌じゃないよ、全然。日向こそ毎日送るの大変でしょ」
「俺はそんなヤワじゃねーよ」


平然を装ってみたものの、どこかぎこちない話し方になってしまった。それにつられて日向の話し方もどこかぎこちない。「この際だから言うけど、」「うん」自然と足が止まる。


「仮じゃなくて、本気で付き合ってほしい」


日向の真剣な目に吸い込まれそうになる。それと同時にわたしの胸のもやもやが一気に晴れていく。なるほどそういうことか。答えは初めから決まっていたわけだ。痛いくらいに暴れ続ける心臓を落ち着けて、ひとつ大きく息を吸い込んだ。


「、わたしも――」

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