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じょきん。思い切って前髪をぱっつんにしてみた。長くなってきて邪魔だったからっていうのもあるけど、いっつも病院で退屈してるだろう太陽をびっくりさせてやろうと思ったのが本当。にしても…うん、あれだな。切り過ぎた。ぱっつんを甘く見てたぜこんにゃろう。横一直線に切ればいいと思ってたのにこの有様。もうちょっと、もうちょっとが積み重なった結果オン・ザ・眉毛。これは恥ずかしすぎて見せられない。とか思いつつ、太陽に会いたいが為に結局病院に来てるわたし。どんだけ太陽のこと好きなのよ!と自分にツッコミを入れつつ、足は進んで太陽の病室の前。ここまで来てしまったらもう後には引けない。ひとつ咳払いをしてドアをいつもより少し勢いよく開けた。


「やっほー太陽」
「なまえ!いらっしゃ…」


固まった。太陽が固まった。もう泣きたい。わたしは凝固剤か何かですか。


「おーい、太陽?太陽くーん?」
「…ま、」
「ま?」
「…やっぱりいいや」


太陽は明らかにわたしから視線を逸らした。もういっそ笑うならこそこそ笑わないで腹の底から笑って頂きたい。なんかここまできたら開き直ってきたぞわたし。


「ちょっと。彼女がお見舞いに来たのに目逸らさないでよね」
「え、ああうん、ごめんね」


いつもより受け答えがしどろもどろな気がする。なんだ、そんなにわたしの前髪ぱっつんがおかしいのかコノヤロー。


「なまえ、言いにくいんだけど…」


ベッドに座ってる太陽が立ってるわたしを見ると必然的に上目遣いになる。その上何故か少し困ったような顔をしているものだからすっごく可愛い。彼氏にこんなこと思うのはどうかと思うけどすっごく可愛いよ太陽。真剣そうな太陽に対してちょっと不謹慎なことを考えていると、太陽はまたふいっと目線を逸らして両手で顔を覆った。


「可愛すぎてじっと見れないんだ」


太陽の予想だにしない発言で勿論わたしの顔は真っ赤になるわけで、いつもより大分短い前髪のせいで見える範囲も広いから質が悪い。わたしも両手で顔の熱を冷まそうとしてみたけど、どうも無理みたい。早く前髪伸ばそう。わたしの心臓が持たない。

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