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結局大輝が持ってきたお菓子だけを購入し、スーパーを後にした。テンションがた落ちのわたしと対照的に、お菓子を買ってもらえたことにテンション上がりっぱなしの大輝。なんだこの絵づら。行きはあんなに早くついたのに、帰りはこんなに時間がかかるなんて。
「はあ…」 「ん、どうしたなまえ」 「このまま元に戻れないのかな…」 「あ?戻んだろいつか」 「あんたね…どんだけ楽天家なのよ」
とはいえ、大輝の言葉に救われたのは事実。そうだよね、いつかは元に戻れるよね。こんなありえないことが起こって、なりゆきで二人で暮らすことになって、普通ではないこの状況を乗り切れているのは大輝がいてくれるからだと思う。入れ替わったのが大輝でよかったな、とか思ったりして。…さつきちゃんならなおよかったけど。
「あ、そういえば黒子どうした?」 「え、黒子くん……どうしたっけ?」
そういえば勢いそのままスーパーに向かったから、あのとき黒子くんがどうしていたか知らない。こんな大きな家を離れたんだ、鍵は確実にかけたはず。鍵を持っていない黒子くんが家を開けっ放しにして帰るとも思えない。家で留守番してくれているのだろうか。そうだとしたら申し訳ない。ゲス野郎に対しても申し訳ないという感情を持ち合わせているわたしはきっと女神に違いない……カーブミラーに映った自分、デカい黒焦げでした。そのあともぎゃあぎゃあ言いながらなんとか家までたどり着き、わたしたちは衝撃の事実を知ることになる。
まさか鍵が閉まっていて、黒子くんが家のどこにもいないなんて。
(えっ、ホラー?ホラーなのこれ) (はあ?!っなわけあるか!!!!!(え、これマジなの))
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