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ロードワークを終えて朝ごはんも食べて、さて今日は何をしようかと考えあぐねていたところ、インターフォンの端末が鳴った。映像にはっきり映し出されてたのはまさかの黒子くん。映像なら影が薄いうんぬんかんぬん抜きでばっちり見える。だいぶマシになったとはいえまだ少し筋肉痛の残る大輝は王様のようにわたしに命令してひとり玄関に向かわせた。あとで何かしらの制裁を加えてやる。そして玄関で対面した黒子くんは、ちゃんと時間をわきまえている上にコンビニで買ったと思われるスナック菓子を手土産として持ってきてくれた。あの黄色い駄犬とは大違いだ。しかし今現在黒子くんのイメージが大きく覆されようとしている。
「…っ、ぶふっ」
さっきからずっと笑いを堪えてるんだけど一発ぶん殴ってもいいのかな。確かにこの見た目でいつも通り話したらさぞ気持ち悪いだろうけどさ、それで誤魔化したつもりかい。鼻がヒクヒクしてる上に歯を食いしばってるのが見え見えだよこの野郎。お得意のポーカーフェイスはどうした。
「赤司くんから…っ、あの、ごほっ、すみませ…っ」 「赤司くんから?」 「赤司くんに、たの、っ…」 「…黒子くん?」 「すみませ、っ、赤司くんから…」 「黒子くん一回トイレ行ってこよっか?」
相当ツボに入ってるみたいだからトイレで思いっきり笑ってくるといいよ。ここで黒子くんに爆笑されて紳士なポーカーフェイス系男子のイメージが崩れるのが怖い。引き笑いだったらどうしよう。逆に大声でぎゃははとかって笑われてもそれはそれで怖いけど。結論、とりあえず黒子くんは爆笑するべきではない。
(じゃあお言葉に甘え、ぶっふぉ) (頼むから今すぐ行ってきやがれ)
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