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ちょっ、俺こんな大きい子供二人の相手してる場合じゃないんスけど?!
「なまえっち離して!俺撮影行かないと!」 「えー?なんだってー?聞こえませーん。ねえ大輝?」 「ああ、全っ然聞こえねえな」 「だあああほんと離して?!遅刻とかほんと許されないんスよ!」
俺がどれだけ腕を振りほどこうともがいてもなまえっちは手加減というものを知らないらしく、びくともしない。食べ物の恨みってすげえ怖いっス。
「大体お前撮影撮影って何の撮影なんだよ。俺がここでお前の恥ずかしい写真撮ってやろうか?」 「なんでそうなるんスか?!それに今日は雑誌じゃなくてドラマの撮影っス!」 「聞いたかなまえ、ドラマだとよ」 「聞いたよ大輝、黄瀬くんに俳優が務まるのかなぁ」
二人はよっぽど俺のことを見くびっているらしい。俺はそこでつい言ってしまった。俺これでも監督にモデル辞めて俳優一本でやったらどうだとか言われるくらい(自分で言うのもなんだけど)いい線いってるんスよ!と。言ったあとに俺はものすごく後悔した。悪ふざけが過ぎる二人はここでリハーサルをしようと言い出したのだ。だから!俺はそのリハーサルに遅刻しそうなんスよ!!!
「俺監督な。よーいアクション」 「…俺が好きなのは君だけだって言ってくれたのは嘘だったのかよ?!」 「え?!そこ男でいくんスか?!」 「俺は男だけど……心は女よ!」 「っ、リアルすぎて嫌っスぅうぁぁああ!」
なまえっちが俺から少し手を離した隙に部屋を出て、全力で玄関へダッシュした。もし二人が元に戻っても俺は青峰っちと今までどおり接する自信がないっス。
(そして黄瀬くんはホモ街道を歩むのであった…めでたしめでたし) (はいカーット)
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