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誰か非常識にも程があるくらい朝早くやってきた黄色の駄犬をなんとかしてくれ。
「すげーっス!ほんとに入れ替わってるんスね!」 「何回も触らないでよ黄瀬くん」 「すげーっスよほんと!ほんとにこんな話あるんスね!」
黄瀬くんはわたしの話なんて聞いちゃいない。さっきから永遠とわたしの頬っぺたをつついたり引っ張ったりしている。いやこれ大輝の身体だから筋肉しかないんですけれども。ぷにぷに感を求めてるなら大輝のほうを当たるのをおすすめしますがね、ええ。まあ大輝は起き抜けってことで相当機嫌が悪くて近づきにくいけど。しかしいつまで経ってもわたしの頬っぺたを触ってくる黄瀬くんに流石にイライラが限界に達したわたしが右ストレートのひとつでも食らわせてやろうと拳に力を込めた瞬間、黄瀬くんの後ろで寝そべっていた大輝からものすごい殺気が。わぁお…これはプロの殺し屋かなにかですか。
「黄瀬ェ…なまえから離れろ」 「え?…!、はい、はいいいい!」 「お前もいつまでも触られてんな」 「…スミマセンデシタ」
なんでわたしまで怒られなくちゃならないんだ。それも自分の顔をした大輝に。いつもこんな顔で怒ってるのかと思ったら、お父さんの靴下と一緒パンツ洗われた時にお母さんに激怒しちゃったことを全力で謝りたい。ごめんねお母さんわたしこんな顔で怒ってただなんて思わなかったよ、ものすごい顔ですね。心の中でお母さんに謝罪しつつ、頭の中ではなぜこんなことになったのかという議論に。そして答えはすぐに出た。
すべての元凶は黄瀬くんにある。
「というわけで黄瀬くん、今すぐ帰れ」 「どういうわけで?!?!!」
(なまえっち酷いっスよぉ!青峰っちも何か…) (ああん?) (ひぃいいいい!!!)
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