8
「おおお!すげーななまえ!!」 「いくらでも褒めたまえ大輝くん」
改めましてこんばんは、家事のできる女みょうじなまえです。赤司くんから好きに使っていいと言われたキッチンには料理番組でしか見たことのないような豊富な食材に加え、生まれて初めて対面する高級食材の数々がお目見えしていました。わたしはその中からいつも見ているような(といってもそんなものより絶対高級な)食材を選んで、いつもどおりに作ってみました。高級食材の調理法なんぞわたしゃ知らないよ!
「うお!んだこのから揚げうめぇ!」 「ちょっと!いただきますがまだでしょ」
大輝を怒ってはいるが、素直においしいと言ってくれたことに嬉しさがこみ上げてくる。日頃から料理しておいてよかったとしみじみ思う。二人一緒にいただきますと言って食べ始めた。とりあえずサラダをとると、お前何野菜食おうとしてんだ!とお叱りが。いやいやいや、わたしは栄養面を考えてだな。
「俺は肉で出来てるから野菜なんて食わなくてもいいんだよ」 「みんな血と骨と肉で出来てるんだよ」
大輝の持論の意味がわからない。さすが野生児、考え方が違う。そしてわたしが凡人と野生児とのギャップを痛感している間にも大輝の箸は止まらない。から揚げ、から揚げ、から揚げ、からあ…っておい!
「から揚げばっか食べすぎ!」 「いいだろ。うめぇんだから」 「よ、く、な、い!!!」
大輝はよくてもわたしは太るの!野菜も食べずに肉肉肉って…デブ街道まっしぐらじゃない!最終的に困るのはわたしなんだからね!
「んな怒んなよからプロ」 「…からプロ?」 「からプロ」
切実な疑問。からプロって何だ。
(から揚げのプロ、略してからプロだろ!) (そんなドヤ顔で言われても)
|