「ね、顔赤いよ」
「わざわざ言わなくてもわかってる」
フードで覆い隠すようにして顔を背けるニールを見て、だって、とミネットは思う。こうやって、この人が動揺しているところを見てる間だけ、なんだか余裕があるような気持ちになった。逆に、ニールが余裕そうにしてると狼狽えてしまうのだけど。
……自分たちは不器用だ。性質もそうだけど、経験も浅い。何をするにも手探りになってしまうのに、それを上手いように処理することが出来ない。後になって、ああしていればこうしていればと思うので精一杯。そういう意味で、とっても不器用。
けれども。自分がそういう振る舞いをしていると心底悔しいと思うのに、相手が同じことをしているとどうも好ましく思えてしまう。本当に不思議だ。道理的じゃない。簡潔に言えば、君に限定して、かわいいと感じる。不意に触れた指先や、至近距離での視線の交わりに急に恥ずかしがる君が、かわいい。そんな風に思うのだ。
「不思議だなあ……」
徐に声を漏らせば、重い前髪の隙間から青色がこちらを覗き見ていた。ミネットは思わず顔を綻ばせる。よく見れば、隠していたその頬にはまだ紅潮が残されていた。
ああ、胸の内が柔らかいものでくすぐられていく。とろりと甘ったるく溢れる感情に今日も翻弄されている。ねえ、その頬に触れたら、君は一体どんな顔をしてくれるのだろう。
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -