とん、と控えめな衝撃が背中に降ってきて、ミネットは手元の端末から顔を上げた。じんわりと温かくなるその場所に、重い何かが寄りかかってる。そのことに気づいて首を回してみるとそこには見慣れた深緑のパーカー。
「……ニール?」
「ん」
寝ているのかと思い小さく声をかけてみたのだが、短く返答があった。起きてるじゃん……何してるの。手を止め、表情の見えないその人に問いかけるも、返ってくるのは先程と同じ短く喉を鳴らす音だけ。……何なの。突然の行動、その意図を読み取ろうとミネットは思考する。
感じる重量はどちらかと言えば控えめで、言ってしまえば軽い。まるでくっついてるだけ、みたいな。でもどうして、それをニールが。意地っ張りで頑固で甘え下手のあのニールが。その行動としてあまりにもそれは、不似合いで。
「ねえ」
「……ん」
「ん、じゃないの。何がしたいの、何してほしいの。言ってよ」
「……」
今度は黙り込んでしまった。返事の代わりにほんの少し、背中を背中で押される。布を数枚隔てた先の温度が少しだけ重くなって、だけどそれだけ。結局何がしたいのかミネットには汲み取れなくて、困惑していた。
「もう……」
気にし続けてたら、きっと振り回されるだけなんだ。こっちが弱いだけだ。それはちょっと癪なので、いっそ何も気にしないことに決め、ミネットは再び端末に視線を落とした。
「もういいよ、気が済むまでそうしてなよ。全く」
「……ん、」
気にしない、気にしない。頭の中で唱えて、画面の中の文字をなぞる。圧し掛かるその重みが、ゆっくりと背中を撫でても。今更気にしてなんて、やらないんだから。
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