誰がどう見ても過保護だ。表情や仕草で行動を見抜いたりするのはさすがに、常人に出来るものではないだろう。
たった今、幼馴染の寝ぐせを指摘して部屋に帰らせたその男を見てニールは思った。
「……ん、どうした?」
視線に気づいたその人は涼し気な顔で首を傾ぐ。寧ろそこでも疑問を抱いてないところが余計に歪に見えた。
「いや……よく見ているんだなと思っただけだ」
遠回しに、遠回しに言葉を投げかける。得意げにしているユウゴの笑みに、底知れない何かを感じながら。
そもそもの話、自分と相手とでは立場が違う。土俵が違う。故にこれは決して嫉妬心などではないのだが、ただ、恐ろしいと思ったのだ。ニールの中にある感情は、きっと、この男にとっては面白くないものだろうことを、他でもないニール自身が理解しているから。
「ふ。まあ、まだ簡単にはお前にやれないからな」
「……!」
わざとそうしているのだと言われ、先の歪さに納得した。だって、子供のようなその無邪気さは、その図体にはあまりにも不似合いで。
「……最初に、言ったが。お前から相棒を盗るつもりはないぞ」
「ああ、そうだったな」
言いながら、ユウゴはその手でニールの頭をフードの上から撫でた。衝撃でニールは思わず、ぐ、と喉を鳴らす。ぐりぐりぐり。やけに力のこもったユウゴの腕は、声に出されぬ本音は、やはり言い知れぬ恐ろしさを感じさせるには十分すぎる所業だった。
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