それは、張り詰めた細い糸のようだった。触れたものの悉くを切ってしまいそうな危うさと、触れられると簡単に切れてしまいそうな危うさと。
最初は、そういったものを抱えているように見えていた。思えば、それは共通事項だったのだ。既視感ともいえるだろう。“最初”に弟を見たときに感じたそれは、まるで別人のように感じたそれは。言葉の通り、別人から受けた印象、に、ひどくよく似ていたのだ。
――ちょっと見ないうちに随分大人になったものだ。
そう思っていたけれど。突き刺す強い視線が今は、怯えている子猫に見えた。
ふと目を覚ます。いつもより少し、体が重い。寝すぎたのだろうと推測を立てながら体を伸ばし辺りを見回すと、部屋の中は随分と散らかっている。そういえば昨日、夜更かしして遊んだんだっけ。
「あ、おはよう兄ちゃん」
欠伸をしているところにかかった声は随分と涼やかな様子で、それだけでジークにはなんとなくわかってしまう。
「……お前、また寝てないだろ」
「あはは。みんなが順番に寝落ちしてくとこ、なかなか面白かったよ」
朗らかに笑いながら、キースは目線でジークの横を指す。釣られてそちらを見ると、未だすやすやと寝息を立てている集団がそこにあった。
「……なんか、こうしてるとこいつらも大人しいもんだな」
「ね、なんかいつもより子供っぽいよね」
「いや、フィムはともかく、ミネットもニールもお前より年上だぞ……」
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