ふと、いつか読んだ恋物語を思い出した。「あなたといる日常が幸せ、ですって。」紙面上の恋は、自分の中の本物の輝きには程遠いと思ったこと。「わたくしにとっては、あなたといられる時はそれだけで、世界をも揺るがす大事件ですのよ?」少し大袈裟な響きでさえも、この想いには届かない。
こんなにもすぐそばにいるのに、彼女は決して、寄りかかろうとはしてくれない。努力。頑張っていることはもう十分、わかっている。たまに所在なく宙を漂っているその手のことも、彼は知っている。「掴めないなら伸ばすだけでいい。俺が、引いてやるから。」だから、少しは頼ってくれないか。
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