気ままな鼻歌に合わせて上機嫌に揺れる桜色の頭に、ぽんと手を置く。思いついたがままに並べられたであろうリズムがぴたりと止んで、キトリーがくるりと振り向いた。イチゴジャムにも似た、透き通った甘い赤色の瞳はその視界にギルバートの顔を捕らえると一瞬遅れて瞬きをする。こてん、頭に手を乗せたまま首が横に傾いていく。どうしたんだろうと思っている、そんな顔。
相変わらずわかりやすく変わる表情を眺めながら、その頭を撫でる。こうすると嬉しいとは本人の談で、よくはわからないのだがまあ喜ぶのならと時折手を伸ばすのだが。
隣に座っている彼女が急にその体を傾けてギルバートに寄りかかった。顔を下げられてしまったがためにギルバートからその表情は見えないが、この様子。行儀良く揃えられた両手は閉じられた両膝の上で大人しくしていて、寄りかかってくる体からは力が抜かれていて。
「……寝るならベッドにしろよ」
「まだ寝てませんよー」
「ったく、寝たら止めるぞ」
「む……それはちょっと惜しいですね」
上目遣いに見上げるキトリーにやれやれと思いながら、止めるのかどうかを見張っているかのようなその瞳から逃れるよう、瞼に唇を落とした。
お望みとあらば、もう少し続けてやることにしよう。ぽんぽんと軽く上下させてからゆっくりと手を滑らせ撫でると、小さく彼女が笑った声がした。
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