じい、と見上げる瞳。縋るようにして寄せられた身体。胸元に触れるキトリーの指先は、少し、震えていた。
ギル、と呼吸に溶け出したかのような音を合図にして、唇を重ね合わせる。そっと、優しく。同時にそれとは対称的に、彼女の腰を支えているその手に力を込め更に距離を縮める。するとどちらのものなのかさえもわからない力強い鼓動が、二人の間に響いた。
「……ん、っう」
もう何度か繰り返した行為だけれど、どうやら彼女はまだ慣れていないらしい。呼吸する隙を作ってやると、すぐに酸素を求めて僅かに、離れる。はあ、と隙間から溢れる吐息は熱を帯びていて、非常に、扇情的で。文字通り一呼吸ほど置いてから、追いかけるようにして再び唇を重ねた。彼女のくぐもった声が鼓膜をくすぐる。
呼吸をして僅かに開いていたそこに舌を挿し入れてやると、キトリーの身体がびく、と反応を見せた。ギルバートの服を掴む彼女の手に強い力が加わる。
誘うように舌を絡めると、キトリーは少し控えめながらも一生懸命、それに応えようとする。つう、と二人の唇の隙間から唾液が伝い落ちた。
「は、う、うぅ……」
「……悪い。苦しくないか?」
「へい、き……です。ですから」
もう一回。甘い、甘いその声にねだられては、やめられるはずなどない。言われずとも、やめる気などない、けれど。でも、その声が、そのわがままが聞けるのならば。まだ、あと少しくらいは余裕ぶってみるというのも、いいかもしれない、なんて。
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