やけに話題になっていたから。たまたま気が向いたから。そんな理由で配信サイトのコンテンツから恋愛映画を選んだ。少し前に映画館で放映していた時は、やけにカップル客が多かったのを覚えている。その場にいた草薙寧々は、同時期に上映していたミュージカル映画にしか興味を向けていなかったけれど。
「ねえ、類」
「なんだい?」
「男の人ってみんなこんな風に嫉妬をするの?」
画面を指して、寧々は一番手近な男性に疑問をぶつけてみる。小さな液晶の中では男女が言い争いをしている真っ最中だった。誰と誰が話していたとか、出かけていたとか。そんなことを逐一確認しては気に食わないと妬いて、正直疲れそうだという感想しかない。
「個人差があるんじゃないかな。する人もいればしない人もいるだろう」
「ふーん」
「とはいえ本気で好きなら、まあそういうこともあるんじゃないかな。そこで良し悪しを決めるのは当人同士さ」
演技の参考になるかと思って見てみたけれど、こういう役どころを演じるのは難しそうだなあ、とぼんやり考える。こういうことも自分の身に落として役を作れるくらいに想像力を鍛えるしかないのだろうか。ううん、と寧々は首を傾げる。
「……よくわからないな。まあ、現状ワンダーステージでの芝居でこんなベタな恋愛ストーリーはそもそもやらないだろうけど」
「フフ。だろうね」
とはいえ知ることは一番の勉強だし、一応最後まで見ておこう。もう一度画面へと向き直る寧々にはきっとまだ、類の心の内を理解することはできないのだろう。
「嫉妬……させてもらえない。なんて言ったらきっと、寧々は怪訝な顔をするんだろうねえ」
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