「満艦飾!」
風紀部委員長蟇郡苛が声を張り上げる。
すると周囲にいた生徒たちが一斉に彼の方を振り向き、そしてその状況に言葉を詰まらせた。
なんて怖いもの知らずな、命知らずな。出来れば関わりたくはない。生徒たちの心境はそんなところだろうか。
彼らの視線の先に居るのは蟇郡と、そして彼に名を呼ばれた少女。
「なんですかぁ蟇郡先輩!」
「なんですか、ではない! お前、どこに乗っている!?」
「はいっ、蟇郡先輩の上です!」
「満艦飾ゥゥ!!」
「ひぇっ」
満艦飾マコ。彼女は無星の生徒でありながら、最近よく三ツ星である蟇郡と共にいるところを見かけられる。いつから親しく(?)なったのかは定かではないが、そういえば思い返してみると、纏流子が現れてからはちょくちょく一緒にいるところが見かけられたとの話もある。
「うーむ、先輩怒ってます!」
「怒っているのではない! 少しは警戒心を持てと言っているのだ!」
降りろと言いたいのであればそう言えば良いのに。そもそも物理的な力では圧倒的に強いだろうに。声にならない言葉の数々、しかしそれらは本人たちには伝わってなどいない。
生真面目すぎるアホと、天然すぎるアホだ。ストレートに伝えたとて、理解するかどうか。第一、まずそれらの言葉を口にすることが出来る猛者のような愚者のような勇者が、いなかった。
「そうですね、先輩の上にいると、うっかり棘に刺さっちゃいそうです! うう、これ痛そうだよ〜。あっ逆に掴んでたら落っこちないのかな? どうかな? よし物は試しだよ掴んじゃえ〜!」
饒舌に喋るマコに、蟇郡が小さく溜息を吐く様子が伺える。付き合うのもバカらしい、と思ったかのような表情。だがしかし、彼は真面目にも全ての言葉を聞き、そして呆れたような声色で告げる。世話好きというか、硬派というか、堅物というか……、随分と苦労してそうだ。
「……満艦飾」
「はい?」
「そういう意味で言ったのではない……!!」
(……じゃあ、どういう?)
(!)
(もう爆ぜればいいのに……)
+*+
元拍手お礼
title by 確かに恋だった
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