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※ 夢主死亡パラレルです、苦手な方はお逃げ下さい


何かを考える前に、身体が勝手に動いていた。次の瞬間に、衝撃と赤色、硝子の破片、横断歩道、ざわめき、ざわめき。まるで画面の中のように実感がない視界。それを生ぬるい風と、鉄錆の香りが嘘じゃないと告げていた


だって、仕方がないじゃぁないか
妹が守れたんなら兄としては本望だろう


ぼやけた視界で、泣きそうな顔した妹を捉えた


「馬鹿兄貴!何で、何でなのよ!」


ああ、今日も可愛い妹。最近悪い虫がついた予感がするのに、これじゃあ払うこともできない


熱いのに冷たい身体は、どこを動かしても痛い。顔を顰めるそれ一つにしても億劫だった
――そうして闇に吸い込まれそうになる意識が、何かに引き寄せられた気がした








長い間、眠っていた気がする。目を開けたとき、空のあおさに思わず目を瞬かせた。


(……あれ、絶対死んだと思ってたのに、俺…生きてた? わぁ、今時の医療技術凄ぇ)


しかしそれにしても目覚めてすぐ目に入るものといえば病院の白い天井だろう、何故に青空


(それとも何、ここ、天国とかいうオチ?)


手を握り、開いてみる。感覚はいつもと変わらない、肉体あるようにしか思えないが――


そこで櫂兎は気付いた。それはあまりにも大きな変化だった


(手が、小さい?)


身体を起こそうとするが失敗しうつ伏せになる。おお、どこからどう見ても、あの長く綺麗なはずの俺の手がぷよぷよした、まるで赤子の手のようになっている、なんて……


「あっえ、あまあゆぁ」


ん、舌がまわらないだと?
嘘…だろ?


受け入れ難いそのことに手足をバタつかせた櫂兎に、降る声があった


「おやおや櫂兎、ご機嫌斜めかい?」


近付いた友の顔は、記憶のものよりずっと、ずっと若かった


(――そうして生を受けた彼は、四歳という史上最年少で国試に通過し)
(――――食えん狸どもをも手玉にとり)
(――――――若干十歳で宰相へと上り詰める)
(――彼の短すぎた一生の中で、彼は、国の全てを見通していたと言われる)


「……で、問題はどうして櫂兎が死んでることになってるのか、よ!」


「しゅ、秀麗姉さんそこは大人の事情ってやつだよ」


「まだまだ子供のくせに、生意気言わないの!」


ぐりぐりと拳骨食らわされ、櫂兎は頭を抑えた


「う……」


「たまにくらい、私に甘えたっていいんだからね…」


「……」


「でないと私、姉として櫂兎に何もしてあげらんないんだもの」


ぽふぽふ、と頭撫でられ、櫂兎は照れて下を見た


(「俺、別の立場での皆を知ってるんだよ」)


(「でも、どっちなんて選べないけど、今も捨てたもんじゃないって、思った」)


(「家族って、いいな」)


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