黎深が猫を連れて帰ってきた
「にゃんこー! うにゃー、ごろにゃー」
みいみいと鳴く猫はかわいい
「櫂兎…猫好きなのか?」
なりふり構わずにゃんにゃん戯れる俺にあきれた風に鳳珠が言った
「妹が猫好きなんだよ。だから俺も好きになっちゃって。あ、でも一番好きなのは妹な!」
「そんなこときいてない」
「黎深、その猫あなたのではないでしょう。返していらっしゃい」
母親が拾い猫をとがめるように悠舜がいう
「ふん、言われずともすることすれば返す」
そうして猫を連れ去って数刻後
にゃんこは毛をつるてんてんに刈られていた
「……黎深」
「なんだ櫂兎」
「にゃんころになにしてやがるうううう! 天誅だあああ!」
そう言って剃刀を持って黎深の髪を狙う俺。悠舜にとめられて刈り損なったが
「猫の毛などすぐ生える」
「極悪非道!冷血悪魔!」
「ふっ…知らんな」
妙にすがすがしい顔なのが余計に憎らしい
毛を刈られたにゃんこはつぶらなひとみをきょろきょろさせた後、くちゅんとくしゃみをして黎深の持つ布にくるまった。
その猫を見た猫の飼い主はショックで気絶してしまったんだとか
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bkm