次の日、俺は眠るように死んだ。
違った、死んだように眠った。
黎深が起きたのを確認し、熱も下がった様子に安心したせいか、そのままばったりふせってしまったのだ。
そして俺が起きてみれば
「酒臭……」
「おう、櫂兎、目ぇさめたのか」
「……何で飛翔がここで酒飲んでんだよ………」
がははと飛翔が笑い、羽林軍と書いてある酒瓶をくいっと飲んだ
「おい、それって……」
「ああ、お前んとこの黎深とかってのが抜け道教えてくれてさぁ? 酒くすねてきたんだ」
あの馬鹿、と頭を抱える。
「黎深は今何処に?」
「さあ? たださっき超美人な男を無理矢理連れ出してたかな」
「げ…」
悠舜が洗濯係でいなくなったのが悪かったらしい。黎深の面白半分に連れ出した鳳珠の顔で、どれだけ今年の受験生が減り、それを鳳珠がどれだけ気にするか。それを考えるだけで頭が痛かった
飛翔が去り程立たず、悠舜が戻ってきた。部屋の状態をみて何かを悟った顔になる悠舜
「ごめんな、俺ってば呑気に寝てて。悠舜1人に洗濯任せるなんて足に負担かけるような真似しちまった…」
「櫂兎は疲れていたんです、仕方ありませんよ。
しかし…その、お酒臭いのは……」
「ああ、どっかの誰かさんがあのワガママ大王と共犯で羽林軍からお酒かっぱらってきたとかで、それをここで飲んでたんだ…」
悩ましげな顔になる悠舜。いつもニコニコの彼をここまで悩ましげにさせっぱなしにできる人も珍しい。
そのくせまだ関係が築かれたままなのは、ワガママ大王も上手に譲歩する線引きをしているからだ。……無意識だろうか?
まあ、そんな不器用かつ極端なところも悠舜みたいなタイプには見え見えだろうから、黎深も安心して好き勝手しているのかもしれない。
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