背を向け布団にもぐりこんでいる黎深をみて吹き出す。おまんじゅうみたいにまるまるだ
「……何しに来た」
「おかゆもってきた。まったく、昨日濡れたまんまほっつき歩くから風邪ひくんだ。ほら、しんどくてもちょっと起きて、朝からあんまり食べてないだろ」
「風邪なんかひいてない」
「嘘いうな嘘を」
そうして嫌がる黎深の布団を引っぺがし額に手を当てる。
「うわ、熱…」
これは結構つらそうだ。それを平気な振りして一日過ごしてたのか、馬鹿だというかなんというか
「一人で食べられそうか?あーんしてやろっか」
「余計なことするな、自分でできる」
そういっておかゆの椀と匙をひったくり、黎深はもぐもぐと食べだした。
「塩加減どう?」
「薄い」
「はい、梅干しでもいれて」
「……」
出された梅干しの種を器用にとって食べる
「……何を見てる」
ふ、と食べる手を止めて黎深が問う
「ん? いや、何も言わずに食べてるから。おいしいのかまずいのかどうなんだろうなーって」
「…まずかったら食わん」
「そっか」
そうして粗方おかゆがなくなったところで黎深は匙を置いた。
「寝る」
「ん。おやすみ」
食べてすぐ寝て太らないのかとか牛になるんじゃないかとかは言わなかった。
寝ころぶ黎深の額に手を当てる。まだ熱い
「とりあえずここに水桶置いとくけど…あ、吸い飲みとか置いといたほうがいいのか、えっとー」
「……でいい」
「ん?」
「このままでいい。お前の手、つめたいだろう」
「いやいやいや、それは色々とだな…だいたい冷やすためにこの濡らした手拭いを―――」
だがそんなことお構いなし、黎深は瞼を閉ざししばらくすれば寝息が聞こえてくる
う、そだろ
寝言で「…あにうえ……今日も素敵ですうふふ」とか言ってやがる。本当に寝てしまったのか…
「このポジション…百合姫に頼むべきだろう…?」
そういいつつ手を離さないでなんだかんだ看病していた俺は徹夜する羽目になった。
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bkm