結果はまだかと待っていたのも数日。室にこもっているのに飽きた俺は、茶州見学に街にふらりとでていってみた。
茶州土産に甘露茶買って帰ろう。殲華は甘ったるいとか言いそうだけど。
そんなこと考えていたのが悪かったんだろう。ふらふら歩いていたためか、街からはかなり離れてしまった人気のない、不穏な空気の漂う通りを歩いていた。そして嫌な予感は当たる。
「……殺刃賊………ねぇ」
数は取り敢えずたくさん。囲まれているようで、殺気がピリリと痛い。そっ、と買った甘露茶の袋を地面に置く。
「たいしたお金は持ってないんだけど。くるならくれば? 優しく弄んで……捨ててあげるよ」
その声に、襲いかかってくる彼ら。たいして訓練されているようではなく、強くはない。だが、刃物振り回してくる上に数が多かったようで、終わる気配がない。
逃げた方が良かったかな、と思い始めた時
「おらおらおらー! 1人相手に卑怯だぞ!助太刀すんぜ、ってあれ、でも被害具合みたら俺はあっちのにーちゃんに襲いかかるべき?」
1人の子供が舞い込んできた。
「いやいやいや、俺襲われてるの! これ正当防衛!」
「そっか、じゃー助けんぜー」
そうして棍を振り回す少年。巨体の男たち相手でも苦もなさげに伸していく。
そうして残るは俺と少年。
「……いや、だから何で俺に対して構えてるかな」
「えーと、確か喧嘩両成敗って言葉あった気がして」
「被害者殴ってどーすんの」
そーかそーかとにかっと笑う少年。うーん。どう見ても燕青。
「ありがとう、助かったよ」
「俺こなくっても大丈夫そうだったけどな」
「いやいや、非常に助かった。平々凡々一市民が命からがら助かったの、君のおかげだよー。あ、俺、棚夏 櫂兎っての」
「いや、さっきの動きは凡人呼ばわりしちゃいけねー気がすんだけど…? あ、俺は浪 燕青っての。」
ですよねー
流石は街のお悩み相談所と同じ名前。
「燕青、お礼といっちゃなんだけどこれあげる」
そう言ってずいと甘露茶の袋を押し付ける
「ええ、いいって礼なんか。しかもこれ……甘露茶だし」
「甘露茶嫌い?」
「嫌いじゃねーけど。……あ、でもいいや。うん、もらっとく。あんがとな、櫂兎」
何がどういいのか分からないが納得したらしい。
お土産用の甘露茶はまた街で買おう。
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