試されて試されて 19
結果はまだかと待っていたのも数日。室にこもっているのに飽きた俺は、茶州見学に街にふらりとでていってみた。


茶州土産に甘露茶買って帰ろう。殲華は甘ったるいとか言いそうだけど。

そんなこと考えていたのが悪かったんだろう。ふらふら歩いていたためか、街からはかなり離れてしまった人気のない、不穏な空気の漂う通りを歩いていた。そして嫌な予感は当たる。


「……殺刃賊………ねぇ」


数は取り敢えずたくさん。囲まれているようで、殺気がピリリと痛い。そっ、と買った甘露茶の袋を地面に置く。


「たいしたお金は持ってないんだけど。くるならくれば? 優しく弄んで……捨ててあげるよ」


その声に、襲いかかってくる彼ら。たいして訓練されているようではなく、強くはない。だが、刃物振り回してくる上に数が多かったようで、終わる気配がない。

逃げた方が良かったかな、と思い始めた時


「おらおらおらー! 1人相手に卑怯だぞ!助太刀すんぜ、ってあれ、でも被害具合みたら俺はあっちのにーちゃんに襲いかかるべき?」

1人の子供が舞い込んできた。


「いやいやいや、俺襲われてるの! これ正当防衛!」


「そっか、じゃー助けんぜー」


そうして棍を振り回す少年。巨体の男たち相手でも苦もなさげに伸していく。


そうして残るは俺と少年。


「……いや、だから何で俺に対して構えてるかな」


「えーと、確か喧嘩両成敗って言葉あった気がして」


「被害者殴ってどーすんの」


そーかそーかとにかっと笑う少年。うーん。どう見ても燕青。


「ありがとう、助かったよ」


「俺こなくっても大丈夫そうだったけどな」


「いやいや、非常に助かった。平々凡々一市民が命からがら助かったの、君のおかげだよー。あ、俺、棚夏 櫂兎っての」


「いや、さっきの動きは凡人呼ばわりしちゃいけねー気がすんだけど…? あ、俺は浪 燕青っての。」


ですよねー
流石は街のお悩み相談所と同じ名前。


「燕青、お礼といっちゃなんだけどこれあげる」

そう言ってずいと甘露茶の袋を押し付ける


「ええ、いいって礼なんか。しかもこれ……甘露茶だし」


「甘露茶嫌い?」


「嫌いじゃねーけど。……あ、でもいいや。うん、もらっとく。あんがとな、櫂兎」



何がどういいのか分からないが納得したらしい。
お土産用の甘露茶はまた街で買おう。

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空中三回転半宙返り土下座
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