試されて試されて 09
母を失ったに次ぎ、清苑の流罪を知り、劉輝はその身いっぱいのさみしさで以前より俺に甘えてくるようになった。


今だけは甘えさせてあげようと、俺も超甘ちゃんになり、しかし後宮の仕事は増える一方で、会えない日が連続したりすると、劉輝のほうから後宮に来るようになった。






そして困ったやつが増えた。
頭がピンクのお花畑、常春頭の藍家4男である。


こいつってばちっこいくせに後宮に忍び込みやがり、小さいのを最大限に生かし可愛がられあまつさえその中に覗く大人っぽさとかでお姉さま方の心を射止めるとかなんとかなのだ!
――こいつは、後宮の敵だ。


ただでさえ忙しいのにさらに後宮内をかき乱され、苛立つ俺は4男を一喝する毎日。しかし4男は飽きもせずにのこのこと後宮にやってくる。
取り敢えず珠翠をその毒牙にかけさせぬよう、4男の気配がしたら珠翠は遠くに行かせるなどして頑張った。
小説じゃあ、まあ誑しなんだなあくらいにしか思っていなかったが。
こいつは、誑しじゃない――正しく常春頭であり、後宮の天敵だ…!!!!?




「えええいこっちに来るなですわ! 近寄らないでくださいまし、後宮に一歩でも踏み入れたが最後、その常春頭のお花畑を刈り取って差し上げますわ!!」


キイと睨むと余裕ぶった笑顔でこちらを見てくる。くそ、こっちは仕事なんだぞ、必死なんだ。それを楽しみ遊びやがって…劉輝に会える時間が無くなるじゃないか!!


「そんなに眉を寄せて怒ると皺になってしまいますよ、お姉さん」


指でついと眉間を押される


「誰が怒らせていると思っているんですの? 貴方が後宮に来なければ、眉を寄せることも腕を振り上げ大声を出すことも、気をそぞろにすることもありませんのに!」


「おや、僕のためにそんなに尽くしてくださっているなんて…」


だめだ、頭の中が春色だと、思考も春色感染するらしい。こいつを遠ざけるなら、上の三兄弟が動くのが一番効果的だろう。邵可に土下座でも何でもしてなんとか根回ししてもらうか


ため息をつく


「貴方のせいで幸せが逃げるわ」


「幸せの青い鳥は僕ですよ、だってほら、藍色だから」


もう会話する努力は捨てようと思った






「貴方なんかそのまま誑し人生歩む癖一番肝心な時好きな女の子に振り向いてもらえない残念男になってしまえ」





藍家4男は、なぜかそのぼそりとつぶやかれた妙に現実味ある言葉に身震いしたのだった。



そして上の三人の兄から『春が終わるまで後宮に入ることを禁ず』という文を受け取り、桜が散るまで、つかの間の平穏が後宮に来たのだった。





(いや、終わるべき春は季節じゃなくて君の頭の中だったんだけどな!?)
 

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空中三回転半宙返り土下座
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