今年の国試は、合格者が極端に少ない上、状元が2人という異例の年になった
状元、鄭 悠舜、棚夏 櫂兎
榜眼、紅 黎深
探花、黄 鳳珠
その結果に、俺はあんぐり口を開ける
悠舜と同率…?
邸までお祝いとお見舞いがてら悠舜が来た。結局荷物まで持って来させてしまった
「状元おめでとうございます、よかったですね。櫂兎」
「悠舜もおめでとう。……いや…うん、良かったんだけど……良かったんだけどね…」
何かこう、納得いかない。いいんだろうか、あんな状態で受けて書いた内容で。…まあ、合格だったの嬉しかったし、いいか。
「身体の方はどうですか?」
「んー、まあ、ぼちぼちってとこ」
進士式には体調の関係上出られないと瑤旋が礼部に掛け合ってくれたらしい。治り次第合流することになっている。ちなみに茶州試のときは鴛洵が、国試のときは瑤旋が後見人的なのをやってくれたようだ。彼らがいなければ、戸籍ない出自不透明な自分が国試受けることはできなかったろう。隼凱が俺なんもしてねえとしょげていた。
「しばらくは邸で療養してろって言われたから、外出歩けないんだ」
「そうなんですか…」
「これから始まるってときに情けねえの…」
「ま、急がなくても大丈夫です。進士も今は雑用しか与えられていませんから」
にこりと微笑む悠舜だが、かすかに疲れの色が見える。雑用といっても…状元というのはつまり例の洗礼があるということで。そんな忙しい中来てくれたことに、申し訳ない気持ちになった
邵可の家にも、国試終わったんだから遊びに行きたい。
早く治れ、俺、と呟いた
「櫂兎の様子はどうだった?」
鳳珠の問いに悠舜が答える
「思ったより元気そうで安心しました。ああ、でも邸を出歩くことはできないそうです」
「そうか」
「ふん、折角兄上の邸まで連れて行ってやろうと思っていたのに」
連れていくといっても行った先で正面訪問はせず、こっそり覗きだろう、と悠舜は呆れ顔になった
むしろ誘わずして正解である。
54 / 54
空中三回転半宙返り土下座
Prev | Next
△Menu ▼
bkm