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 昨日のやり取りのあと、ベルドアールはぼくに絡んでこなくなった。というか、あからさまに避けられた。そんなに聞かれるのが嫌だったのか?

 お互いに無言で食事をして、無言で森や浜を探索し、無言で物資を集める。

 正直、鬱陶しくなくていい。遭難当初に想定していたよりずっと楽だ、気分が。

 しかし、必要最低限の会話すら避けるのはやめてほしい。今日はこんなことをしてとか、どこまでしか行っちゃだめとか、無人島で生き残るには結構打ち合わせが必要なのだ、と以前フレイから聞いていた。

 現に、バカ王子はぼくから見える範囲からいなくなっている。

 何やってんだよ……。探すほうの手間も考えろ。この状況で余計な体力消費したらマズいだろうが。

 ちなみに、体力温存と安全性いう点で、ぼくもベルドアールも砂浜の端から端までしか動いていない。昨日の内に二人で、というかぼくが一方的に決めた。万が一森の奥に進入でもして迷子になったら確実に戻れないだろうし。

 その未開の地にベルドアールが入っていったのだとすると、彼を探すのならば、ぼくもそこに足を踏み入れなければならない。二人して森の中から出られなくなったら今度こそおしまいだ。

 ちなみに、ぼくにはあいつを見捨てるという選択肢もある。そうすれば、余計なリスクを負うことも良心への呵責もない。バカ王子は関わり合いになりたくなかった人間第一位だし。

 だが、ぼくがヤツを見捨てれば、国際問題的な意味でヘズたちに迷惑がかかってしまう。勢力も確実に拡大している中なのだ。いくらなんでも駄目だろう。

 ぼくはしばらく砂浜をうろうろしながら、やっぱり探しに行くしかない、という結論に至った。幸い日はまだ高いので、日没まで時間はある。頑張らなくても、案外ひょっこりでてくるかもしれないし。

 意を決して、ぼくは森に足を踏み入れた。


05 | 07


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