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 ぼくがサガさんとベルさんがいなくなったと聞いたのは、めちゃくちゃ静まり返った図書館で読書してたら眠くなってきたときに、大泣きしたビッキーが僕の名前を連呼しながら抱きついてきて内心祭だったけど周りの視線が痛くて図書館から出たときだった。


「ヘズさん、ヘズさん、ヘズさん……!」

「え、ちょ、ビッキー、なに? どうしたの?」


 ぼくは泣くばかりの彼女に戸惑うばかりだ。経緯がさっぱりわからないのに、ぼくが泣かせた、みたいな視線が刺さるのが一番嫌だった。


「あ、あの……サガさんと王子さまがいなくなっちゃった!!」


 ――ぼくの頭が利害関係計算機になる。

 ええっと? トランの英雄にして真の紋章ソウルイーター使いのサガ・マクドールさんと、ファレナ女王国王子にして女王騎士長代行のベルドアール・ファレナさんが行方不明?


「ちなみに、飛ばした先の心当たりは?」

「群島諸国の無人島です……」


 つまり、ラグナロク軍の不手際により、トラン・ファレナの二カ国を敵に回す可能性があるわけか。そういや、ベルさんの父親って群島関係者じゃないっけ? もし二人の行方不明を聞きつけて、トランが同盟破棄したり、遥か南方のファレナや群島諸国が参戦してきたら――


「ラグナロク軍終了のお知らせが……」


 さらば、ジョウイとナナミとの三人暮らし。


「ごめんなさい、ごめんなさいぃ……」

「謝らないで、ビッキー……。ぼくは最後の一人になってもジョウイのことを諦めない……!」

「ヘズさん……!」

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