素敵サクセラ企画にこれを提出するつもりだったのですが、なんか違うなぁと思い後半を変えた方を提出しました。
そこでせっかく最初に考えていたのもあるんだからサイトに載せちゃおうという貧乏性?でこっちもアップしてみました。

何かもうどっちも偽者でスミマセン(x x)







堺さん家で晩御飯を食べるのは何度目だろうかと
目の前にいるいつもより少しだけ表情のやわらかい堺さんを見ながらふと思った。
どれくらいの確率でこの世界にいる生き物は両想いになれるのだろうかなど
いつもの俺らしくないことをよく考えるようになったのは
堺さんと付き合い始めてから。
こういうことを考えるのは幸せの証拠だと人は言うかもしれないが
この幸せはいつまで続くのだろうかと不安になってしまう。

自分の不安を堺さんにぶつけてみたくて俺は箸を机に置いた。

「どうした世良、あんなに腹減ったって言ってたのはどこのどいつだよ」
ズズッと味噌汁(堺さんの作る味噌汁は出汁が違う気がする!)を飲みながら問うてくる堺さんに俺は聞いてみた。

「堺さん」
「何だよ?」
「堺さんは、もしも明日から俺と一生会えなくなったらどうしますか?」
「は?」
「だから、もし俺がどっかのクラブに移籍するとか、日本にいれなくなっちゃうとか、地球が爆発しちゃうとか…」
「ハァ、いきなり何言うかと思ったら柄でもないこと言い出すし、というかお前の例え極端なんだよ、地球爆発したら俺ら会えないどころか死んでるからな、それに俺もしもとかそういう系の話嫌いなんだけど」

うっ、堺さんってば厳しいなぁ…

「…お前が何考えてんのか分かんねーけど、ゆっくり話してみろよ」

気付けば堺さんも箸を置いてまっすぐ俺のことを見て話していた。
あぁ、やっぱりこの人は優しいな。

「俺の世界の中心って堺さんなんっスよ、22年生きてきて堺さんと過ごした時間は俺の人生の中ではまだ短いっスけど、俺は今堺さんを中心に生きてるんっス、だから堺さんと会えなくなったらって不安で…」
「それで俺に聞いたのか…」

堺さんが俺のぐちゃぐちゃな話をちゃんと聞いてくれてるってだけで幸せなのに、なんで不安になってんのか分かんなくて泣きそうになった。

「お前には悪いが俺の世界の中心はいつでもサッカーなんだよ」

俺はどうやら堺さんに期待をしていたらしい、
堺さんの中心に俺がいることを。
じゃなきゃ頭を誰かに殴られたみたいな衝撃は起こらないはずだから。

「お前に俺が世界の中心だって言われるのは悪い気しねーけど、お前はそれでいいのか?」
「へ?」

何が?だって俺は堺さんが好きなんだから、それじゃダメなの?

きっとアホ面してるだろう俺を
堺さんは眉間にシワを寄せながら話した(これって睨まれてんの…?)

「お前の世界ってそんなに狭くて良いのかって聞いてんだけど
俺が中心ってことは広くて日本、狭くて、この部屋ぐらいだろ?
…お前だってプロのサッカー選手なら」

世界に目を向けてみろよ

俺は漸く気付いた、
今堺さんは恋人ではなくサッカー選手として話していることに。
堺さんの話してることは分かるんだけど…
俺が求めてる答えとは違うんだよなぁ

「えぇっと、あの堺さん…」
「なんだよ」
「その…それはそうなんっスけど、ちがくて」
「俺はさ、お前のこと思って言ってるつもりなんだけど」
「えっ?」
「俺たちって、…まぁ、恋人だけど、
その前にサッカー選手でポジション同じ、
俺はお前と競いたいと思ってる、
だからライバルがそんな狭い視野だと困るんだよ」

ラ イ バ ル


俺は体温が急激に上がったのを感じた。
堺さんが、いつも厳しい堺さんが、お、俺のことライバルって…!!
そんなの嬉しいに決まってる。

世界を広げるには目標を高くしなきゃな…、よし!

「堺さん、俺得点王になります!そんでETU優勝に導いて代表に選ばれてW杯出て海外からオファー殺到してっ」



「もう分かったから静かにしろ、メシの途中だろ」
「さ、かいさん、今の…」

せっかく決まった俺の目標は堺さんの口で止められてしまった。
普段は、特にメシ食ってる時なんかはキス、しないのに…
ライバルって認められて喜んでたのにこうやって恋人同士がするようなことされたらさ、あぁ、もう、頭がおかしくなっちゃうぐらいにぐるぐるしてる。

「お前の考えてることはよく分かんねえけど…単純にさ、こうやって一緒にメシ食ってることが幸せってやつだと思うぜ」

堺さんの声を聞くと落ち着いてきた。
そうだよな、もっと単純に考えたら良かったんだよな。

「サッカー中心で回ってるけど、頭ん中はお前ばっかりなんだよな」

ボソッと呟いた言葉を俺はしっかりと聞いた、けど俺に向かって言ってほしかったから
「堺さん、今なんて言ったんスか?」
って言ってみたけど
「あぁ、メシ冷えるから早く食えって言った」
なんてさっきのことなかったみたいに普通にメシ食ってるけど
少し顔が赤い堺さんを見られてので俺は大人しく美味しい堺さんのご飯を食べることにした。



ワールドエンドストーリー
君の居ない世界なんて終わってしまえ


(お前が死んだら俺も死ぬんだろうな)
(幸せ死にッスね)

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