堺さん家で晩御飯を食べるのはこれで何回目だろうかと
目の前のいつもより少しだけ表情のやわらかい堺さんを見ながらふと思った。

最近はいつも笑ってる、俺も堺さんも。
しあわせだなぁって思うんだけど、
これはいつまで続くんだろうって俺らしくないことをよく考えるようになった。

こういうことを考えることこそ幸せの証拠だと人は言うかもしれないけれど
なんだか不安になってしまう。

よしっ、と気合いを入れて俺は箸を机に置いた。

「どうした世良、あんなに腹減ったって言ってたのはどこのどいつだよ」
ズズッと味噌汁(堺さんの作る味噌汁は出汁が違う気がする!)を飲みながら問うてくる堺さんに俺は聞いてみた。

「堺さん」
「何だよ?」
「堺さんは、もしも明日から俺と一生会えなくなったらどうしますか?」
「は?」
「だから、もし俺がどっかのクラブに移籍するとか、日本にいれなくなっちゃうとか、地球が爆発しちゃうとか…」
「ハァ、いきなり何言うかと思ったら柄でもないこと言い出すなよ
というかお前の例え極端なんだよ、地球爆発したら俺ら会えないどころか死んでるからな、それに俺もしもとかそういう系の話嫌いなんだけど」

うっ、堺さんってば厳しいなぁ…

「…お前が何考えてんのか分かんねーけど、ゆっくり話してみろよ」

俺がちょっとだけ怯んでたら
堺さんも箸を置いてまっすぐ俺のことを見て話してくれた。
あぁ、やっぱりこの人のこと好きだな。

「…俺の世界の中心って堺さんなんっスよ
22年生きてきて、堺さんと過ごした時間は俺の人生の中ではまだ短いっスけど…
俺は今堺さんを中心に生きてるんっス
だから、堺さんと会えなくなったらって不安で…」
「それでそんな話したのか…」

堺さんが俺のぐちゃぐちゃな話をちゃんと聞いてくれてるってだけで幸せなのに、なんで不安になってんのか分かんなくて泣きそうになった。

「お前がいなくなったら、なんて考えたことないな
まぁ俺がそういうの嫌いだからかもしんないけど…
でも世良はずっと俺の側にいる気がするんだよな」

えっ、そ、それって…
俺の心臓が速く動くのが分かった。

「何かお前犬みたいだからな、構ってもらいたいって感じでさ」
と、少し意地悪な顔しながら笑う堺さんに
ムッとなってときめきを返せ!ってなった。
けどこの顔見ると文句言えないなあ
こういうイタズラな感じの子供っぽいところも最近見せてくれるようになったんだよな。
やっぱ好きだなあ。

「…考えたことないから今考えたけど、お前いなくても案外やってけると思うな」
「え!?」
「練習の時うるさくないし
イライラしない
メシ作んの1人分でいいし
レギュラー争いも1人減ると楽になるしな」

今度は笑いもせず真面目な口調の堺さんに俺の心はズタズタのボロボロにされた。
さっきまで幸せだって思ってたの俺だけ?
堺さんにとっての俺ってそんなもんなの?
ねぇ、俺達付き合ってるよね?
俺のこと、好きだよね?
もうなんか今度は悲しくて泣きそうだよ。

「でも
お前の声が聞こえないと何か物足りないんだよな
姿見えないと余計にイライラするし
人の為に作って一緒に食べるメシは1人で食べるのよりうまくなるし
ポジション争いは絶対にあった方がいいしな
だから、」


お前がいないと俺が困るから
側にいろよ、世良


真剣な目をした格好いい堺さんに見とれながらハッとした。
さっき言ってほしかった言葉が、まさか本当に堺さんの口から聞けるなんて…

そんなこと言われたら不安なんかぶっ飛んじゃうし
幸せ過ぎて俺死んじゃうかもしんない!

「俺も、堺さんいなくなったら困るッス
だからずっと一緒にいましょうね!」
ニコニコしながら言ったら堺さんも笑ってくれて
「そうだな」
って言ってくれた。




ワールドエンド
寂しい世界はもう終わり

(堺さん好きッス!)
(ハイハイ俺も好き、
早くメシ食え、冷めるだろ)
(…ウッス!!)








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サクセラ企画サイトポテチの恋、様に捧げます。

私なんかがこんな素敵企画に参加しちゃって本当に恐れ多いのですが、サクセラらしきものをやっと書けて満足してます。

コルサさん、素敵な企画をありがとうございます!

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