少年01「やっぱ来栖はすごいよなー。完璧な人間っているもんだ。」

少女02「だよねー。
もう妬みとか通り越して憧れだよ!」


春香タイトルコール03「幸福論7colors」


春香ナレーション04「昔から完璧だと言われてきた。確かに不満はない。
だけど特に努力をしたわけではないから、達成感などがない。」

春香05「得るのも大変なら失うのも大変なのが才能…、なんてね。」

亜希06「あの子とは逆のパターンね。」

春香07「何か用かしら?今考え事してるからちょっと…」

亜希08「完璧なあなたが考え事?」

春香09「完璧……ね。」

亜希10「気にしてたのならごめんなさい。
私で良かったら聞くわよ。」

春香11「ありがとう。
あのね……傲ってると思わずに聞いてほしいんだけど、私、才能をぶつけるものがないの。
何でもすぐにできちゃうから、趣味にならないのよ。」

亜希12「でも、あなたの才能を欲しがる人もとても多いわ…。」

春香13「そうね。私、贅沢だね…。」

亜希13「…前に、とある男の子に出会ったわ。
彼はあなたとは真逆で何事にも自信が持てなくて…だから言葉をかけることができた。
でもあなたには、簡単に言葉はかけられない。ごめんなさい…。」

春香14「優しいのね。だけどそんな顔しないで。」

亜希15「……ねぇ、もしもあなたにできないことがあったらどうする?」

春香16「うーん…嬉しい、かな?あはは、変だよね。
でもね、本当に才能なんていらないんだ。
暗闇のなかで模索する…私はそんな人生を生きたかったの。
どんなに落ちこぼれでも難しいことでもやってのける。それが私の夢なの。
でも今まで…そんなものはなかったわ。」

亜希17「そうね……。」

春香18「ごめんね、こんな話しちゃって!困るわよねっ。
私は来栖春香。あなたは?」

亜希19「杠亜希」

春香20「亜希ちゃんね。
ここで会えたのも何かの縁だし、私たち、一生の友達になれたりして。」

亜希21「そんな人はいなかったわ。」

春香22「え?ど、どうして?」

亜希23「私は…あなたたちとは違うから。」

春香24「そんなの関係ないわよ?
亜希ちゃんは私を励ましてくれたじゃない。
だから、その……えっと……。」

亜希25「…冗談よ。困らせてごめんなさい。」

春香26「じょ…冗談か…あはは…。
冗談きついわ亜希ちゃん…。」

亜希27「………ねぇ…例えばよ。
例えば…あなたのできないことが目の前にあって、そのために何かを失わないといけなかったら、どうする?」

春香28「私にとっては最高だわ。
絶対に乗り越えるし何も失わない。」

亜希29「…あるわよ、あなたにもできないこと…。
だけど代償は必要よ…。
…私にとっても……。」

春香30「亜希ちゃん…?」

亜希31「ねぇ、私のこと…絶対に忘れないって言える?」

春香32「今まで出会った人を忘れたことはないわ。
どうしたの?亜希ちゃんどこかに引っ越すの?」

亜希33「もしもの話よ。良いから答えて。」

春香34「…どうしてそんなことを言うのかは分からないけど、必死に思い出すわ。
それを目標に私は生きていく。」

亜希35「そう……良かった…。」

春香36「心配ないわよ。忘れたりしないから!」

亜希37「えぇ、良かったわ……あなたに目標を与えることができて…夢を叶えられて…」

春香38「そ、それってどういう…」

亜希39「さよなら………」


春香40「あれ……。何かを…いや…私、誰かと話してた…?
誰かと………約束………っ…」

春香41「そうだ!私、誰かと……。
もしかして………」

春香ナレーション42「忘れるはずもない。
今までの嫌なことや良かったことは全部覚えている。こんなことはあり得ない。
だけど、不思議と悲しくはない。
不謹慎かもしれないけれど、初めて出会う感覚を楽しんでいた。」

春香43「……ゴールが見えない、か…。
うん。やってみせよう。やれることをやったって、意味なんてない。
だから、やれないことを…。
決めなければ限界なんてないから。
きっと、"あなた"もそう言いたいのよね。」



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