少女A「私たちって友達よね。」
幼少茉莉「うんっ!!」
茉莉「……友達、か。」
タイトルコール「幸福論7colors」
茉莉ナレーション「友達とは何だろう。
友達だと言ってくれた彼女は、あっさりと私を裏切っていった。きっと心から友達だと思っていなかったのだろう。
考えてみれば、私は学校が終わったあと誰かと遊ぶといった機会が少なかった気がする。とにもかくにも、私には友人がいない。少なくとも公言できる友人がいない。」
茉莉「馬鹿馬鹿しい…」
亜希「本当にそう?」
茉莉「!……何、…誰。」
亜希「私は杠亜希。何って言われれば…そうね、あなたと友達になりに来た、かしら。」
茉莉「…友達?」
幼少茉莉「…ねぇどうして?何で…」
少女A「…思い上がらないでよね。あんたなんか……」
茉莉「必要ないわ」
亜希「そう、このまま寂しい人生を送るのね。」
茉莉「…何が言いたいの?」
亜希「言葉通りの意味よ。あなたは過去に縛られ続けて、ずっと誰も信じられないまま生きていくのね。」
茉莉「…人の傷口に塩を塗って楽しい?」
亜希「そうだと思う?」
茉莉「知らないわよ。人間何考えてるかなんて分からないんだから。」
亜希「…分かろうとしたの?」
茉莉「分かろうとしたわよ!でもっ…分からないじゃない…!!
…友達なんて、口先だけなら何とでも言えるわよ…」
亜希「そう思った人がいたのね。」
茉莉「…そうよ。あの子は私が苦しいときはいつも助けてくれなかった。それは周りも同じ。
私ばっかりあの子を助けて…」
亜希「あなたは助けてって…苦しいってその子に言ったの?」
茉莉「……あんまり言ってないわ…だって友達だと思ってたのよ?心配かけられないじゃない。」
亜希「…でも、あなたが言ったのよ?
人間何を考えているかなんて分からないって。」
茉莉「っ…そ、れは……。
でも、私最後にはちゃんと…!」
亜希「それは今まで何も言わなかったあなただから、その子にとってはワガママに聞こえたのかもしれないわ。」
茉莉「でも…だからって…!!」
亜希「一回の失敗が何?
一度でも友達に裏切られたらもう誰とも口を聞きませんってポーズ?」
茉莉「そんな、つもりは…」
亜希「人間何を考えているかなんて分からない。」
茉莉「っ!」
亜希「言い方キツいかもしれないけれど、何当たり前のこと言ってるの?相手が考えていることなんて誰にも分からない。家族であってもそう。
だけど分からないからこそ相手を知ろうとするの。時にはそれで傷つくこともあるわ。でもそれでも、自分が傷つくことを省みず相手を信じ理解しようとする。
……それが友達なんじゃないかしら。」
茉莉「…私は…ただの独りよがりだったと…?」
亜希「…そういうつもりはないわ。でも、1つだけいいかしら。」
茉莉「…何?やっぱり私、間違ってる?」
亜希「間違える間違えないは重要じゃないわ。あなたの人生だもの、それは嘘じゃない。苦しかったことも悲しかったことも、だけど、嬉しかったことや楽しかったことも嘘じゃないわ。」
茉莉「じゃあ何を…」
亜希「もう一度回りに目を向けてみて。
私のことは信じなくてもいい。
ただ、これから出会う誰かのことは信じてあげて。」
茉莉「っ!……私今、何か…。
……何だっけ………。」
茉莉ナレーション「何かを、いや、誰かと話をしていたはずなのに、それが思い出せない。
夢でもみていたのだろうか。
でも、確実に何かが変わっていた。
私の中では、その思い出せもしない人の最後の言葉が響いている気がした。」
茉莉「もう一度…。誰かと話でもしてみようかな…」