かき氷
食堂にて、現在七松先輩と匙を構えて睨み合い中。
「あの二人、なにしてるの?」
「……対決」
たまたま食堂を訪れた善法寺伊作先輩が、審判を勤めてくださる中在家先輩に不思議そいに問いかけた。
小さな声で何をするのか教えた中在家先輩は、これまた小さな声でようい、と呟き、私と七松先輩は睨み合いをやめて正面にそれぞれ置かれた涼しげに輝くそれを見つめる。
「……始め」
その声を聞き逃さないように聴覚神経を張り詰め、呟きと同時に手を動かす。
「…対決って、ひょっとしてかき氷の早食い、とか?」
伊作先輩が呆れたようにそう言って、はぁ、と大きな溜息を吐いた。
伊作先輩は呆れてもこっちは真剣勝負じゃいと気合を入れて、口に詰め込んだかき氷をゴクリと飲み込んだ。
「うがぁぁあ!!!」
「きぃぃぃい!!!」
と、同時に七松先輩と私は頭を押さえてもがく。
なにこれ頭いてぇぇぇええ!!!
「そりゃそうだよ、かき氷は一気に食べると頭キーンてするもん」
かき氷よりも冷たい目をしてそう告げる伊作先輩。もっと早く教えて!!
「くっ、負けてたまるか!!いけいけどんどーん!!」
「くくくぅ〜…わ、私だってぇ…!!」
そう言うものの、負けたくないと言う意思に反して手が動くのを拒否する。
「長次、あのかき氷は誰が?」
そんな接戦(?)を完全スルーして、もうすでに興味は失せましたとでも言わんばかりに、伊作先輩は柔らかな笑顔で中在家先輩に問いかける。
「………留三郎が…」
「作ったんだ。あは、相変わらず器用だなぁ」
のほほんと会話する二人をよそに、私と七松先輩はまた頭を押さえて悶えた。
「…君たち馬鹿なの?」
「…返す言葉もございません…」
「私は馬鹿じゃないぞ!!!」
「ちょwww行動がもう馬鹿丸出しですってwww」
伊作先輩の言葉に噛み付く七松先輩を宥めていると、小さな声で中在家先輩が呟いた。
「………不毛…」
仰る通りですwww
〜20140731 暴君フェス拍手
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