豆乳




「…タカ丸さん」

「なーにー?」

「…それ、何スか?」

「これ?豆乳だよー、バナナ味」

「…火薬委員会に所属すると大豆製品摂取が義務付けられるんスか?」

「やだなー、そんな訳ないよ。これは健康の為に飲んでるんだよー結構美味しいし」

「そっスか…」

遠い目で会話を終わらせて、私は隣で豆乳(バナナ味)を飲むバナナ…否、タカ丸さんから目を逸らした。
つーかその歳で健康の為って…いやいやいいんですけどね。

ずずず、と音を立てて豆乳を飲み終えたらしいタカ丸さんは、パコパコと音を立てながら紙パックを膨らまして遊び始めた。

「…タカ丸さん、お行儀悪いっス」

「えー?」

ほよほよと笑いながらも、遊び続けるタカ丸さんから紙パックを取り上げて、まじまじと観察する。

「…豆乳ってね、女性にいいんだって」

「へ?そーなんスか?」

「えっとね、鮪とかキャベツとか、南瓜とかね、豆製品は女性ホルモンの分泌を助ける働きがあるらしいよ」

「へぇぇ、初耳っスわ」

初めて聞いた大豆製品やその他食材の意外な効果に、素直に歓声をあげた私は気付いてしまった。

「…タカ丸さん、どこ見てるんスか」

「…え、や、そのー…ほら、まだ成長期だし大丈夫!いくらでも望みはあるって!!」

「マジで失礼ですよね」

私のとても平らに近しい胸元を苦笑いで見つめるタカ丸さんに、渾身の力で紙パックを投げつけて、私は食堂に向かって歩き出した。


き、気にしてなんかないもん!!



〜20140531拍手御礼

[ 10/141 ]