天女
私の名前は新木心愛。ここあって読むの。大好きなパパとママが可愛い私に似合うねって付けてくれた名前。
そんな名前に負けないように、私自身もとっても可愛い。
別に自惚れてるわけじゃないわ。周りがそう言ってくれる。
学校でも、近所の人も。
そんな私、16歳。いつものように朝起きて、学校に行って…って筈だったのに、何故か今真っ白なところにいる。目の前には白い服を着たひと。
そして、さっきから目の前に居る白い服を着た人は私に
「何でも願いを叶えてあげるよ」
なんてにっこり笑っている。
状況はいまいちわからないけど、でも願いを叶えてくれるなんて言われたら夢でも何でもいいかな、なんて。
「本当に何でも叶えてくれるの?」
私は念を押すようにもう一度白い服の言っていることを繰り返し確認してみる。
「本当だよ。なんでも言ってごらん」
相変わらず笑ったままの白い服の人…まるで神様のようなその人に、じゃあ、と私の願望を告げる。
私の願望。そう、願望。
「私、一度でいいからかっこいい男の子に囲まれてちやほやされたい!」
学校にもかっこいい男の子…イケメンはいるけど、もっとたくさん。そして私をお姫様のように扱ってくれて、たくさんちやほやしてくれて、そして…
「そして、私だけの王子様を見つけたいの!!」
白い服の神様はふうむ、とひとつ頷き、やっぱりにっこり笑ってひらりと手を振った。
「お安い御用さ」
そしてじゃあ補正を、とか容姿の修正が、とか言ってたからカチンときて言ってやった。
「失礼ね、私これでも地元じゃちょっと有名な美少女なんだから!」
すると神様は一瞬ぽかんとして、次の瞬間大爆笑。なにコイツ!!
「ごめんごめん、じゃあ悩殺補正だけかけとくよ」
その言葉を聴いた途端、私の足元は形を失って、白い空間から放り出された。
凄まじい浮遊感にずっと目をつぶっていた私が、急にざわめく音と背中に衝撃を感じて恐る恐る目を開けると、そこにはとってもイケメンな男の子の驚いた顔と青空が広がっていた。
「きみ、大丈夫?」
私を抱きかかえたまま声をかけてくれたイケメンの後ろにもイケメン、イケメン、イケメン。
すごい、すごいすごいすごいすごい!!本当にあの人は神様だったんだ!!
「大丈夫?一応医務室に連れて行こうか?」
嬉しさのあまり反応が返せてなかった私を心配してイケメンがそう言って、はっとして返事をした。
「あ、わ、大丈夫!ありがとう!!」
そう言ってにっこり笑うと、イケメンもその後ろにいるイケメンも、皆一斉に顔を赤くしていた。神様の言ってた補正って、こーゆーこと?
そしてあれよあれよという間に私はイケメンに囲まれて、なんとか学園の学園長の前に連れて行かれ、事のあらましを話したらしばらくここに居ていいって言われて、とにかくイケメンに囲まれ続けている。
食堂に連れられて、ようやっと自分の状況を飲み込むことが出来た。
どうやら私は神様の力で男の子をメロメロにできる、みたい。
で、室町時代?にタイムスリップしたらしくって、ここは忍者の学校。
私を受け止めてくれたさわやか系イケメンは善法寺伊作くん。
その隣にいるつり目のイケメンが食満留三郎くん。
その逆隣にいるちょっと寝不足気味のイケメンが潮江文次郎くん。
顔に傷のあるワイルド系イケメンが中在家長次くん。
ちょっと離れたところにいるライオンみたいなイケメンが七松小平太くん。
その隣のまるで日本人形みたいな美人がきれいめイケメン立花仙蔵くん。
皆15歳なんだって。でも私のクラスの男の子よりも全然大人っぽいし、年下って感じしないなぁ。
ああでも、神様本当にありがとう!!
私、こんなにイケメンに囲まれてすっごい嬉しい!!
しかも学園長?もここに居ていいって言ってくれたし、これから楽しくなりそう!!
…そういえば、何か忘れてる気がする…けど、まぁいっか。
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