激走必至!レース開幕!

わいわいと賑わう忍術学園の運動場。
たくましアルバイター、1年は組のきり丸が弁当を売り歩く。
そこに、学級委員長委員会の鉢屋三郎が定番のつくしマイクを持って姿を現した。

「えー、こんにちは。今回実況を努めさせていただきます学級委員長委員会の鉢屋三郎です。現場からは尾浜勘右衛門、救護班は保健委員の代わりにくノ一教室でお送りします。

さあ始まりました、勝利は一体どの委員会の手に!!“激走必至!!予算を掛けた委員会委員長サバイバルレース”!!
まずは説明をさせていただきます。
このレースは各委員会の委員長が4つのコースを走り、順位を競うものです。尚、今回のコースは先生作なので、えげつないものはありません。
しかーし!!予算会議と同じく、委員会の妨害は何でもあり!!乱入さえしなければ、罠を仕掛けようが武器を渡そうがOK!!皆さん頑張ってください!!
気になるコースは全4種類!!まずは第一アトラクション、突っ込め障子アタック!!並んだ8つの障子のうち、5つは鉄板!!全力でぶつかったら痛いですが、全力でぶつからないと障子は破れません!!
第二アトラクションは飛び越せ俵ジャンプ!!坂道から転がり来る俵を華麗に飛び越えろ!!
第三アトラクションはぶっ飛べ絶壁スライダー!!大きく抉れた道をデカ草鞋に乗ってジャンプ!!勿論失敗すれば谷に落ちますのでご用心!!
そして最後のアトラクションは、乗り切れ桶漕ぎスプラッシュ!!ゴールまでの道を隔てる急流を、桶に乗って渡りきれ!!
するとゴールはもう目前!!三位までの委員会には予算にかなり色がつくぞ!!

さぁそして気になる選手紹介だ!!
第一レーン、会計委員会委員長、忍術学園一ギンギンに忍者している潮江文次郎選手!!
第二レーン、図書委員会委員長、沈黙の生き字引中在家長次!!
第三レーン、作法委員会委員長、燃える戦国作法立花仙蔵!!
第四レーン、保健委員会委員長、不運委員長の名は伊達じゃない善法寺伊作!!今回のレース大穴です!!
第五レーン、生物委員会委員長、魅惑の猛獣使い平澄姫!!
第六レーン、体育委員会委員長、いけいけどんどん七松小平太!!一番人気です!!
第七レーン、火薬委員会委員長代理代理、風魔からやってきた刺客錫高野与四郎!!
第八レーン、用具委員会委員長、9年目のプリンス食満留三郎!!
皆さん燃えております!!そろそろレース開始ですからねー!!」

長い長い鉢屋三郎の説明がやっと終わり、紹介された各委員会の委員長たちが事前にくじで決められたレーンの前に並ぶ。

「サバイバルレースっつーか、なんつーか…これを先生たちが真面目に作ったところを想像するとなんか笑えるな」

「僕最初の障子アタックでもう嫌な予感しかしないんだけど」

「いけいけどんどーん!!」

「巻き込んでしまって申し訳ないな、わざわざ風魔から、遠かったろう?」

「いんやー!!おらんとここんなのねーから楽しみダーヨ!!」

留三郎が苦笑し、伊作が遠い目をして、小平太は張り切っている。そして、火薬委員会委員長代理代理とよくわからない肩書きで突然呼び出された挙句関係ないレースに引っ張り出された錫高野与四郎に仙蔵が労わりの声を掛けると、彼は楽しそうに笑っていた。
他のものは、目に予算という炎を燃え滾らせて、ただひたすらゴールの方角を見据えている。
わあわあと所属する委員会の委員長を応援する声が飛び交う中、同じようにつくしマイクを持った尾浜勘右衛門がとことこと現れ、ごほん、と咳払いをした。

「それでは位置について、よーい…すたーと!!!」

なんとも力の抜ける声で、戦いの火蓋は切って落とされた。


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