名前は睡骨に抱きしめられていた



睡「好きだ…」

「……」

睡「妹としてじゃなく女として…」


温かな腕の中で睡骨の言葉がこだまして聞こえる


まさか睡兄の口からこんな言葉を聞ける日が来るなんて思わなくて――

名前は涙を流しながら背中に手をまわし着物を掴んだ

あたしも伝えなきゃ――



「あたしも睡兄のことが…」

睡「もういい…言わなくて……」


それだけ言って睡骨はさらに強く名前を抱きしめる


睡「ちゃんと分かったから…」

「睡兄…」



そう呟くと睡骨はやっと体を離し、名前の涙を優しく拭って少し苦笑いをした


睡「ただその呼び方はちょっとな…(笑)」

「えっ…じゃあなんて呼べばいいの?」

睡「普通に『睡骨』でいいんじゃね?」

「そっか……じゃあ、睡…骨?」


慣れない呼び方になんだか戸惑いつつも思い切って声に出してみた


しかしその時睡骨はふと顔を逸らす
その表情はなんだか照れているようで――


「何で赤くなんの?」

睡「あっ…赤くなってねぇよ!」

「なってたじゃん!」

睡「っるせー///ほらとっとと帰るぞ!」


からかうように笑うと睡骨はムスッとして籠を拾い一人でツカツカと歩き出した


「あ、睡に…じゃなくて睡骨!」

睡「あ?」


相変わらずムッとした顔でこちらを振り向く睡骨に名前はニコッと笑って手を差し出す

その手に一瞬不思議そうな顔をしたが、しばらくして意味を理解したのか、ハッとした顔で名前の顔と手を交互に見る


睡「…おまっ///この年になってそんなことできるかよ!」

「いいじゃん!それに…
今日から兄妹じゃなくて恋人…なんでしょ?///」

睡「………///仕方ねぇな…ほらよ」


そうやって照れくさそうに差し出す睡骨の手を名前はしっかりと握った

離れないようにギュッと――





夕焼け空の下――

二人手を繋いで仲良く帰るその姿は
あの日と同じ…


ただ違うのは一つ

二人はもう兄妹ではなく




恋人の絆で結ばれていたということだけ――


『手を繋ごう』 END...
⇒あとがき・おまけ

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