その頃名前は七人隊の屋敷から少し歩いた場所にある丘へと来ていた




――というのもさっき



「薬草?」

蛇「あぁ。睡骨に採りに行くよう頼まれたんだけどさぁ……俺今から用事があって」

「で、代わりにあたしが?」

蛇「そうそう!ほんと悪いんだけど…」

手を合わせて懇願する蛇骨を前に答えを渋っていたが、その時

煉「蛇骨ー?」

蛇「あっ、煉骨の兄貴が呼んでる!じゃあ頼むな!」


そう言ってさっさと名前の部屋から出て行ってしまった



――というわけで…





「ってかそもそも睡兄が来ればいいじゃない」


そうぶつぶつ文句を言いながらも手を動かす



しかしもうすでに薬草を採り終えていた名前は偶々見つけたシロツメクサの花を使って頭に乗せる冠を作っていた


そういえば
こうやって花とるのに夢中になって結局迷子にまでなって…

睡兄に怒られてたっけ…

それも今では懐かしい思い出だ






「……できた…」

茎を絡めて編んだ冠は綺麗に円を描いており、自分で頭に乗せると大きさもぴったりと合っていた


しかし出来上がったところで名前の心は晴れなくて…


「睡兄……」


ふと声に出して呼んでみた
返ってくることはないのに…

名前は虚しげに少し笑った





その時――


「なんだよ」

突然背後から聞こえた声に驚いて振り向くとそこには――


「睡兄…」

呆れたような顔をして名前の前に立ち尽くす睡骨の姿があった

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