一方睡骨の部屋――


睡「あ゛ー、だりぃ…」


横たわって目をつぶるものも全く眠気は襲ってこないし、気分は曇ったまま…

睡「どうしちまったんだよ俺は…」


気付けば考えるのは名前のことばかりになっていた


『睡兄!』

笑ってそう呼ぶ名前を見ていつからか複雑な…なんとも言えない気持ちになって

俺は…








蛮「睡骨、いるか?」


閉ざされた襖の向こうから蛮骨の声が聞こえてきた

しかし今は誰とも話す気分にはなれない
睡骨は寝たふりをして応答しなかった


すると
ガラッ――

あろうことか蛮骨は襖を開けて入ってきた


睡(入ってくるかよ普通…(汗)


しかしながら息をひそめて寝たふりをしていたが――

蛮「おいっ、バレてるぜ?」

睡(ギクッ)


まんまと見抜かれ仕方なく睡骨は起き上って蛮骨の方を向いた


睡「はぁ…何だよ大兄貴…」

蛮「お前さぁ…名前のことどう思ってんだ?」


突然思いもよらないことを聞かれ目を見開く


睡「……なんだよ、いきなり…」

蛮「いいから答えろ」

睡「…別に俺はどうも思って…蛮「俺の前で嘘をつくのは許さねぇぞ」


まっすぐ睡骨の目を見つめてくる蛮骨
その目に睡骨は思わず息をのんだ



睡「…じゃあもしも俺が名前に特別な感情を抱いたとしてどうなるってんだ?
名前を困惑させるだけじゃねぇか…」

名前を傷つけることにもなる
それだけは…




蛮「じゃあお前は名前の兄貴のままでいいのか?
このままずっと「睡兄」のままでいいってのか?」

睡「………」

蛮「まぁ、決めるのはお前だがな…」


蛮骨は後ろを向いて部屋から出ていく
襖に手をかけ出ようとしたその時、蛮骨はふと立ち止まった


蛮「今名前は薬草を採りに丘に行ってる」

睡「え…」


蛮「日が暮れる前に迎えに行ってやれよな」

そう言ってニッと笑うと蛮骨は部屋から出て行った

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