名前が部屋から出ると睡骨は自分の部屋へと向かって廊下を歩いていた
「ちょっと待ってよ、睡兄!」
大声で呼ぶと睡骨の足が止まる
しかし相変わらず名前には背を向けたまま
「どうしたのよ一体…」
睡「何でもねぇよ」
「何でもなくないでしょ!なんか変……あ…」
名前の言葉を最後まで聞かずに睡骨はまた歩き出した
「睡兄!」
再び大きな声でそう呼んだ―――
その時――
睡「そんな風に呼ぶんじゃねぇ!」
やっとこちらを振り向いてくれたかと思えば、睡骨が声に出したのは予想にもしなかった言葉――
その声は怒りに満ちているようにも思えたが逆に表情は切なげで…
「え…」
初めて見たそんな睡骨に名前は呆然とするばかりで――
睡「……わりぃ、ちょっと一人にしてくれ…」
背を向けて離れていく睡骨にこれ以上言葉をかけることなんてできなかった
「はぁ…」
結局そのまま自分の部屋へと戻ってしまった名前
睡骨のことはもちろん気になったが、
こんな気持ち…
もう持たない方がいいのかもしれない
そんなかすかな思いが名前の足を止めてしまった
血が繋がっていないとはいえ幼いころから兄妹のように一緒に育ってきたから。睡兄は自分のことを妹でしか見てないのだから。
「もう…諦めようかな」
ポツリと声に出したその時名前の部屋の襖が開いた
振り向くとそこにいたのは
「蛇骨…」
蛇「よぉ名前♪」
にこやかで手を振る蛇骨だった
「どうしたの?」
蛇「ちょっと悪いんだけどさぁ……頼まれ事してくんね?」
「?」
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