「・・放して・・・」

名前はそう言って、俺の腕を振り払おうとして来た。
―でも、俺も男だから・・・女の名前がかなうわけねーからそのまま。
って言うか・・・さらに、きつく抱きしめたけどよ。

「放してっ・・・嫌いなんでしょ・・・別れたいんでしょ!? もう、ほっといて!」
「・・・せぇ」
「はなし「煩せぇっての」んっ!?」

ぎゃーぎゃー煩せぇから、名前を無理やり振り向かせると―口付けして、黙らせた。
―あ・・・赤くなっちまって、可愛いやつ♪

「・・・な・・・んで・・・?」
「何でって・・・自分の女に口付けしたって、構わねーだろ?」
「・・・え?」

俺がそういうと、名前はのろのろと俺を見上げた。
―なんて顔、してんだよ。

「・・・嫌い、じゃないの?」
「嫌いじゃねーよ」
「・・・だって・・・別れようって・・・」
「・・・んなの、本気じゃないに決まってるだろ?」

俺はそういうと、名前を自分の胸に抱きしめて―顔を見えないようにした。
―そして、そのまま言う。

「・・・ごめん、酷いこと言っちまって」
「・・・」
「俺、お前が大事そうに持ってた着物―他の男にやるもんだと思っちまって・・・」
「・・・」

俺がしゃべってるけど、名前は黙って俺に抱きしめられたまま。
―泣かしちまったし、嫌われちまったかもな・・・。

「・・・それで、別れようなって言っちまって―すごく、後悔してる」
「・・・」
「・・・本当は、別れたくなんかねーんだ―俺、お前のこと・・・愛してるんだ」
「! ほん・・・とう・・・?」

そこまで言うと、名前が顔を上げてそう聞いてきた。
―あ、泣いてたから・・・目、少し赤い・・・。

「・・・本当に、決まってんだろ? 俺、女相手にこんなこと言わねーよ―名前以外には」

俺はそう言って、またきつく名前を抱きしめる。
―絶対、顔赤いし・・・恥ずかしくて、顔見れねぇよ。

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