DAYS短編 | ナノ

お勉強の時間です

1年生たちを教える君下くんとは少し離れて私と喜一くんは向かい合ってテーブルについた。
学年トップの君下くんほど上手に教えれるとは思えないけど喜一くんの勉強の面倒を見ることとなったわけで…

1時間くらい経っただろうか、しばらくは大人しく参考書と問題集に向かってた喜一くんだったのだけど突然顔を上げた。

「もう限界だ」

険しい顔でそう呟いた。流石に飽きたのかな?1時間集中できただけでも頑張った方かもしれないけど

「…なしたの?」
神妙な面持ちで彼は言った。

「キスしたい」
「喜一くん、黙って問4解いて」

真顔で何を言い出すかと思えば…
私は呆れて顔を伏せた。

「キスさせろ」
「ダメ」
「ふざけんな、家にお前が来てなんでイチャイチャできないんだコラ」

この様子ではちょっとやそっとじゃ折れそうもない。

「何でって…今日はみんないるし…」
「分かった、いなかったらいいんだな?よし、部屋行こう」
「行かないって!勉強するために来たんだよ?誰の為に勉強合宿してると思ってるの?」
「いいからいいから、ちこう寄れ」
「寄らないって…」

だんだん不機嫌な顔になってく喜一くん
うぅん…どうしたものか
「…分かった」
「よし、部屋いくぞ」
「今は行かない」
「は?」
喜一くんの眉間に深くシワが刻まれた。
けど気にしてられない、喜一くんには勉強して貰わなければならない。赤点回避してもらわなければならない。
全員で、合宿に参加する必要がある。聖蹟サッカー部のこれからのためにも!

「…この勉強合宿、真面目に取り組んで、赤点回避できたら、ちゅーしてあげる」
「はぁ!?」
「おバカな人とちゅーしたら馬鹿が移っちゃうから、だから真面目に勉強して」
「………(怒)」

喜一くんは最高に不機嫌そうな顔してる。君下くんといい勝負。
「分かった?分かったら問4続けて」
喜一くんは舌打ちをした後、渋々問題集に向かう。

「…ぜってー赤点回避してやる」
「うん、その意気だよ」
「覚えとけよ、赤点回避した暁には俺が満足するまでキスをする。そのために俺は赤点を回避する、是が非でも」

喜一くんが満足するまで、とは言ってない。
けどやる気になってくれたから結果オーライということで…

「あ?何見てんだ柄本」
「い、いえ!すいません見てません!!」
あの恥ずかしい話が聞こえてたのか柄本くんの顔は真っ赤になっていたけど…結果オーライということで…


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