休憩中に俺の分のドリンクを持ってきてくれたマネージャーが突然そんな問を投げかけてくるから、口に含んだドリンクを全部噴き出してしまった。
「な、何を突然言い出すんだね…」
濡れた口のまわりをタオルで拭いながら、俺が濡らしてしまった床をモップがけする彼女に言った。
「…烏養さん、コーチになってから毎日遅くまで練習見てくれてるじゃないですか。彼女いないから時間あるのかなって…」
「馬鹿にすんなよ?俺はお前らを勝たせるためにここにいる。彼女との時間なんてのは二の次なんだよ!」
「えっ、彼女いたんですか!?」
「…いや、今はいねぇけど」
…なんか虚しくなってきた。
「そう、なんですか…やっぱり、居ないんだ」
「そうだよ!いねーよ!文句あっか?あぁ!?」
ヤケクソに声を荒らげてしまった。独り身宣言を、大声で…いい大人が、情けない。
「…」
「なんだよ、なんか言えよ」
話しかけてきたくせに、今度はだんまりか。
「…よかったです」
「は?何がだよ、俺が独り身で何がいいんだコラ」
モップがけをやめて顔を上げた彼女はニッコリと微笑んだ。
「…だって、私が彼女になれるかもしれない可能性が増えたじゃないですか」
…は?
ちょっと、それ、どういう…えぇ!?
モップを片付ける彼女の後ろ姿を眺めながら、まさかの展開に頭が沸騰していくのを感じていた。
まずい、非常にまずい。
高校生の小娘にこんなに心を乱されてしまうなんて…
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まなさん、リクエストありがとうございました!