気付かせてみた




景ちゃん達がちょたさん達を探しに行くのを見送った後、我が勘を頼りに辿り着いた1件の小屋。それは鬱蒼とした森に溶け込むように佇んでいた。

『…あんさんが犯人っすか。』

「っだ、誰!?」

『空といいますー。どもー。』

ボクが名乗ると目の前の少年は瞠目し、「空…?まさか、イレギュラー?」などと呟いていた。

『あんさんが何を目的としているかは分かりやせんが、そろそろ終わって欲しいんす。』

「終わるって…このゲームを?冗談じゃない!こんなに楽しいゲームやめるわけないよ!」

『楽しい?』

「そうさ。あのテニプリの跡部達が必死に逃げ回ってるのを高みの見物だよ?楽しくてしょうがない!」

『…よく分かんないすけど、1つ勘違いしてますよー。』

「勘違い?」

『此処はただのゲームの世界じゃないっす。現実なんすよ。』

「…あはは!現実だって?そんなわけないよ!」

『じゃあ証拠をお見せしましょうかー。』

「え…」

ドシュッ

「!」

『ほら、本物の血っす。』

「な、な…!」

『ただのゲームなら怪我することも無いっす。でも現実なら傷を負うことも、死ぬことだってあるんすよ。』

ターミネーターもどきから拝借したレーザーで腕を撃った。痛い、そして血が滴る。

「そ、そんな…此処は二次元なんじゃ…」

『まあ間違いないのは、ボク達はこの世界で生きてるってことっすかね。』

いつも通り口角だけ上げて笑みを作ってみる。驚愕していた少年はガクリと崩れ落ち、手にしていたパソコンを落とした。

「俺、なんて酷いことを…」

『ぎりぎりセーフっすよ。幸いに景ちゃん達は無傷。あんさんはちょっとイタズラしちゃっただけっす。』

「っ、」

『さ、お帰りなせえ。あんさんを待ってる人が居ますよー。』

「ご、ごめんなさいっ…」

深く頭を下げた少年は、泣きながらお礼を言って消えていった。ありがとう、と。



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『…依頼は果たしたっすよ、カミサマ。』

「はは、助かったぜ、空チャン。」

『ちゃんと仕事してるんすか?』

「いやあ、ちょっと目を離した隙にあの少年がこっちの次元に来ちゃってさ。焦った焦った。」

『全く焦燥感が感じられないっす。』

「あっれー?」

『それにボクに依頼しなくてもカミサマなら自力で解決出来るっしょー?』

「まあまあ、そう言うなよ。ちゃんと全員を元の世界に帰してやるからさ。」

『当然っす。』










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