見破られてみた




『ちょいとタロっちに挨拶してくるっす。』

空が部室を出て行ったため中断していたミーティングを再開した。連絡事項はそれほど多くなかったため思いの外早く終わった。今、部室に居るのは俺様1人。今日は樺地も先に帰した。

『およ?待っててくれたんすね。』

「当たり前だ。空、今日は泊まっていけ。」

『んではお言葉に甘えてー。』

久しぶりの景ちゃん家っすねー、無表情でも嬉しそうな空を抱えて待たせてる車まで向かった。

 * * *

「で?」

『あい?』

「本当の依頼内容は何だ、あーん?」

『…やっぱり景ちゃんには適わないっすね。』

「俺様のインサイトを舐めるな。」

『恐れ入ったっすわ。』

空は寝転がっていた体を起こし、俺様に視線を寄越す。

『景ちゃんの察してる通り、1日限定コーチってのは表向きの依頼内容っす。タロっちにも協力して貰って。』

「そういうことだろうと思ったぜ。」

『んでも本当の依頼内容は言えないっす。シークレットっす。』

「…俺様にもか。」

『申し訳ないっすが、景ちゃんにも黙秘権発動。本当の依頼主との約束なんす。それにぶっちゃけ何が起こるかボクにも分からないんすよ。』

「そうか…悪いな、俺様も追及し過ぎた。」

『いいえー。』

「あと、」

『あ。』

「この腕はどうした。」

空を抱えた時に感じた違和感。確信を持って袖を捲ると包帯が巻かれた腕が現れた。

『昨日、四天宝寺で依頼があったんす。ちょいと手こずってー。』

「…お前の行動範囲の広さに驚きだ。」

『それほどでもー。』

「ったく、無茶はするなよ。お前は体力ねーんだからな。」

『善処しますー。』



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『んー、でも今回の依頼も手こずりそうな予感。』

「何だその根拠の無い予想は。」

『女の勘ってヤツっす。景ちゃんも気を付けて下さいねー?』

「あーん?誰にもの言ってんだ。」

『ふはは、愚問でしたかー。』

「当然だ。」










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