「どうしたの、顔まっしろ」


「…………」


「ねぇ」


「…………」


「聞いてる?」


「…いまくちを、きけるじょうたい、じゃないって、さっしてく、ださ、い」


「え?なに?」


「……う゛っ」


「あ、気持ち悪いの!?」


「………!」


「うわ、さらに白くなった…ていうか灰色!顔が灰色!」


「……ぅぅ」


「お水!水飲みなよ、これ!」


「……いりませ」


「もー…ホラ、背中さすったげる」


「…ぃませ……ぅえ」


「ちょっと、ここで吐かないでね」


「だいじょ………ぅ…」


「大丈夫に聞こえないよ」


「………ぅぇ……すいま……っぐ、すいません」


「あ、治ってきたね。はい水」


「……は……ぁりがと、うっ、ございます」


「うんうん、飲めるね、いいこ」


「はー…。あ、いけそう…。クダリさん、ありがとうございました」


「どういたしまして。体調悪かったの?」


「いえいえまさか。ちょっとノボリさんを、」


「また何か怒らせるようなことしたんだね」


「何ですぐそういう…違います。ノボリさんを一番いいアングルで撮ろうとして、走ってるノボリさんを全力で追っかけたんですけど」


「……孵化かー」


「はい、多分。で、結構がんばって私も走ったんですけど。ノボリさんずーっとおんなじ所ぐるぐるぐるぐるしてるもんだから目が回っちゃったんです」


「自業自得だね」


「今も実はまだちょっと世界が回ってます。クダリさんもくるくる回って見えます」


「どんだけ目回ってるの!道理で視線がふらふらしてると思ったよ!」







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