「クッダリさーん!……?何やってるんですか?お手紙?」


「うわ!えっ?」


「お手紙ですね?…ほー…これはラブレターですか!」


「え」


「『この世界に僕と君しかいなかったらいいのにって時々思うよ』……うわ…あ、いや、いいと思いますよ、何と言うかこういう古典的なのも!」


「…ありがとう?」


「お相手はどなたですか?カミツレさん?ジョーイさん?ミュージカルの受付嬢?誰にせよやっぱ美人な方なんでしょうね!それとも可愛い方ですか?」


「…うん。かわいい」


「チッのろけやがって…」


「え、のろけじゃないよ。相手は僕が好きって思ってること知らないし」


「あ、だから手紙で告白しようとしたんですね!意外とロマンチストですね!」


「ロマンチスト…ねぇ、良かったらアドバイスくれない?どんなこと書いたらその子が喜ぶかわかんなくて」


「うっ…私で参考になりますかね…?」


「大丈夫!なる!」


「何でそんな自信満々…」

「いいの!はい、どこから直したらいい?」

「そうですね…。まず出だしが『拝啓』ってカタイと思うんです!もっとこう、クダリさんらしく元気っぽく!『大好きな君へ!』とか」

「ふうん…それがいいと思う?」


「やっぱ掴みでハートキャッチは必要でしょう」


「そっか」


「でー、あとは…概ねいいんですがこの辺の微妙なエロネタというか下ネタは…あ、読み上げなくていいですからね!こういうのはもっと婉曲に書くべきではないですか?」


「うーん…」


「多少ロマンチックに脚色してあればいけます!クダリさんイケメンだから」


「…何、その子は僕の外見で好きになるってこと?」


「間違えましたごめんなさい!違います、クダリさんは中身も外身もすっごい素敵だから、これにロマンテイストが加わったら夢見る乙女は一撃必殺ってことです!」


「その子あんまり…ロマンとか、興味無さそうなんだけど」


「女の子はみんなロマンチックに憧れるんです!大丈夫、これだけは保証できます」


「みんな?全員?」


「はい!」


「君も?」


「えっ」


「何だ、違うの?じゃあやっぱり例外いるんじゃん…手紙やめようかな」


「あっ大丈夫です大丈夫です!嫌だなぁ私だってロマン大好きですって!心配いりませんって!」


「本当?」


「もちろんですよー、ロマンに弱すぎて本当こんな甘ったるい事ばっか手紙に書かれたら即落ちです!例外なし!」


「信用していいのかな」


「もちろん!」


「そう。……よし、書けた!それじゃ、はい」


「………?あぁ、出してこいってことですか?」


「この流れでそんなわけないでしょ!君にだよ」


「うそ」


「本当。返事は後で直接聞かせてもらうから」


「えっえっ、あの、」


「じゃあね!ダブルトレイン行ってくる!」


「クダリさ…!………言い逃げ卑怯でしょ……何この甘々な文面!私が言ったのより激甘じゃんかロマンチストめ!」






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