「昨日研修行ってきました。心臓マッサージとかのやつ」


「ああ、そうでしたね。うまくできましたか?」


「いやあんまり…。専用の人形使ってやるじゃないですか、マッサージのとき強く押しすぎて何回も赤ランプ点滅してました。さらに人工呼吸も息吹き込み過ぎたみたいでレッドゾーン叩きだしまくり!来月また来いって言われました」


「…お客様にもしもの事があった場合はお願いですから誰か近くの駅員に助けをお求めくださいましね…」


「あれ難しくないですか?ノボリさんだって研修受けたでしょう、どうだったんですか?」


「わたくしは一年ごとに受けておりますが全てクリアしております」


「え!凄い!」


「サブウェイマスターたるもの最低限の処置は出来るよう求められているのです」


「ってことはクダリさんも?」


「クダリはですね、わたくしよりもむしろ高い評価を受けておりました」


「ええ!?クダリさんがですか!?」


「まずは意識確認のために声をかけるでしょう?その際わたくしは人形相手だとどうも…」


「ああ、『人形に話しかけたって返事戻ってくるわけねぇだろ』って思ってしまったと」


「…そうです」


「そうですかー。私は普通に大丈夫ですか!聞こえますか!って声かけましたけどねぇ」


「良いことです」


「ところで…つまりあれですよね?挑戦者が心肺停止したりしたときは駅に着くまでサブウェイマスターが応急処置をすると」


「はい」


「二人っきりの車両で…意識確認したり、呼吸確認したり、心臓マッサージしたり、人工呼吸したり?」


「…何か?」


「いえ何も。ただこの情報を公開したらお客さん増えそうだなーって思って」


「狙って心停止出来る方がいるとでも」


「4日くらい寝ないで数日ご飯抜いた状態にして二十連戦もすればそんくらいできるんじゃないですか?試してみましょうか」


「しなくて結構でございます!無駄なこと考えてないで来月に向けて勉強でもなさったらいかがですか」


「えー…だってあれあの人形ないと練習とか出来ない…あ、ノボリさん練習台になってくれますか?」


「は………………?あの、いえ、あ、練習って、その、まあ別に、練習ですしね」


「もしかしたら肋骨2、3本イッちゃうかもしれませんけど…」


「あ、…あぁ、そちらでしたか…。え?肋骨?」


「研修の先生に怒られたんです、そんな強く押したら骨折れちゃうよって…。で、練習させてくれますか?」


「絶対に嫌でございます」





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